不況は特定の大企業が作っている。
無借金経営で日本型経営、国際安全パイ。憧れのトヨタ株は、そのはずだった。今は黒字続きで手が出ないが、少々赤字続きになれば、買う価値はあると思っていた。 そのトヨタが、非正規雇用者を一斉に解雇して、米国発の恐慌を日本に持ち込む最初の張本人となった。 現在の不況は作られたモノである。大企業が、寄ってたかって作っていると言ってよい。 法的に許されるから、赤字転落からいち早く立ち直るために、生身の人々の首を切る。 切られた人は内部留保もない人々がほとんどだ。だから、支援がなければ立ち直れない。 大赤字を出した大企業は、これまでの内部留保が十分あるのに、在庫管理、スリム化、競争力確保を理由に、これまで会社を支えてくれた人々をあっさりと裏切る。しかもそれらの人々の人生を台無しにするようなやり方でである。 規制緩和、構造改革ということは、こういうことだったんだ、と、今になって初めてわかるようになっている。 企業を支える雇用者がいて、屋台骨の企業家がいて、苦境のさいにも一心同体であることを確認しあう、という、トヨタの過去の美談はどこへ消えたのか。 台湾でダム建設に携わった某企業家は、関東大震災で日本政府からの資金が途絶え苦境に陥った時、有能な潰しの利く人から解雇していったという。解雇された人も事情を理解しており、状況が好転すると、再び多くの人が帰って来たという。 倒産必須、共倒れ必須の状況でも、解雇ということは、その人の生計を破綻に追いやることである。しかし企業家であっても生殺権はない。 多才な人や、実家が裕福な高学歴の人なら、まだやり直しが利くかもしれない。しかしほとんどの人にとって、住む場所さえなくなる事態である。崖っぷちから突き落とされたようなものである。 不況が来るからと、小金を溜め込んで使わない中流の人々にバラまく金があったら、政府は、なぜ彼らの救済に回さないのか。 小生は株で大損したから愚痴っているわけだが、極々小株主の責任は果たしたつもりである。海外投資家が一斉に引き上げて暴落したので、貧弱な手持ちの資金を全部つぎ込んで買いあさった。結果はもっとこけて被害を増やしただけである。しかし、日本中の株主が同様にしていたら、買い支えられたと思う。 未だ高値圏にあるトヨタは、これからもっとこけるだろう。小生が買える金額になっても、日本の景気の動向を決めてしまった、この会社と、それに追随する会社の株は買うつもりはない。製品も、である。 ---アスコフィネチア---