新・ユダヤ人(推敲)2-1-4 一神教4
高床式の建物に住み、イグサの敷物も使ってた小アジアのハッチ王国などでは、彼らを露骨に嫌っていた。 未だアッシリアが小国で、力も持っていない、貧しい時代から嫌ってた。 雇い兵などには絶対に、しない。 もちろん、容易に蹴散らせる勢力だったんだろうが、手出しも征服もしない。 そもそも、近寄りたくないのである。 鉄ほしさに通商に来るアッシリア商人がいても、カールムという出島に閉じ込め、そこでしか交易させなかった。 「ほかの国の商人たちは、町の木戸の中に入って勝手に商売やってんか」 「兵になりたい?」 「まず帰化して、代々住んでから言ってや」 ハッチは、その内部に八民族をも抱えた、多民族でできた国だった。 なのに、差別というより、文化的にアッシリアを嫌って除外してた。 平和裏に自国に入ってくるアッシリア人をも、出島でゲットー化して、監視してた、のである。 宗教問題みたいなもん、があったと思う。 ハッチ人は、アッシリア臭さが大嫌いだった。 この後進国アッシリアの奴隷制を、自国の制度として採用し、やがて力をつけたのがバビロニアだと思う。 ハッチ時代のバビロンの王族は、ハッチのもとの王族と同じ種族である。 カッシュという。 ハッチはクシュ・シャラ。 西洋の学者の多くは、バビロンのこっちが、アッシリアより先だと思う、みたいだが。 当時の世界の、文化の中心地は、どうみてもバビロンだし。 しかし、その周辺国である、フルリ人やアラム人の諸国もいっしょに、バビロンはアッシリアの制度(宗教?)を見習ったのでは?。 とオイラは思う。 そのフルリ人たちが、さらに一神教を生み出し、求心力を強めた、というところだろうか? いや、フルリ人の地域が一神教の故地であるらしい証拠はあるんだが、ここが強国であった時期は、ごく短いように思えるのである。 なぜか、一神教の国は飢饉には超強い。 だが、国として長続きしない。 中国なんか、政権が変わるたびに、人口が一気に10分の1以下に落ち込む。 旧約聖書で、ホリ人、一般的にはフルリ人と言われる連中がいた。 アッシリアの南にある此処の地域の主人となっていた。 膠着語の影響を受けた、武人種族(王族)なのである。 のちのアラム人やビバイナ国とも、大いに関係があるらしい。 王族は混血していた。 だが、北から入ってくる白人の雇い兵を大勢抱えていたのでは、と思えるのだ。 南から来たヒクソスやアピル、ベネイアミナ(ヘブライ)との関係も、おおいにありそうなのである。 白人でない彼らアブラハムの種族も、この時代には雇われ兵、やってた。 その雇われ兵が、随所で、とんでもないわるさするので、個々の国は大きくならない。 正規兵ではない軍属たちが、王の権力を傘に着て、田舎で暴れるので、もてあましてた。 現代でも、どこかの国が、これやってしまって、占領した各地で大損こいた。 将軍や将校が大勢吊るされた。 兵には徴兵しなかったが、軍属はいたし、特に頭のいいやつを将校にしてしまったりしたもんだから。 台湾出の軍属、高砂兵には各地で大いに助けられて、ただただ尊敬するしかなかったのだが。 雇い兵というのは、主人にカネのある間は忠実だ。 だが、民衆と王族の垣根を作ってしまう。 だから、この古代のシリア地域には小国がいっぱいあって、ゴタゴタしてた。 フルリ人の国は、単一王国ではない。 いくつものフルリ人の立てた国があって、ミタンニが特に代表で有名だ、と考えたほうがいい。 民衆は西北隣のハッチ同様、多民族の入り混じった、ごった煮だった。 一神教で、王の現実が庶民の現実でもある、というのが、危機の時代には都合いい。 だから、ここの王たちは、飢饉がきたとき、白人が持っていた一神教を受け入れたのでは? ずっとずっとずっと後の時代の、ハザール汗国の王族が抱いたのと、同じ理屈。 多神教の、制度としての奴隷を持ってない諸国は、もともと、飢饉の時代に弱いのである。 一部の者だけが食う、特権というのを許さないので、当然だろう。 選民だけが食う、というのは、王族であっても許されない。 なので、飢饉が発生したら、下手すると、共倒れになる。 超神経質でシャイなハッチ帝国の道徳なんかでは、王族であっても若者だと、日常の自由な飲み食いも許されていなかった。 膠着語系の諸種族は、天災で弱体化したのだ。 戦争してた武人連中だけが、なんとか生き延びた。 その戦争でもしかし、奴隷制度のない国家では、ハラペコで敗退して、離散したり奴隷に落ちたりした。 しかし奴隷制を選んだ国家は、こういった飢饉の時代にこそ、領土を広げるのである。 市場が繁栄しているときではなく、恐慌の時にこそ、誰かさんみたいにツブシ屋となって乗り出してくる。 帝国イスラエルを、ずっとのちの時代に滅亡させたアッシリアがまさに、そういう国の総代表だった。 避難者が逃げ込んで膨れ上がって、大帝国となってたハッチは、飢饉の時代に適応できずに、あっさり滅亡。 当時の大王シュッピルリアマシュが(一神教への?)宗教運動やってたが、間に合わなかった。 ミタンニ地域の北にあった隣国アッシリアは、難なく飢饉をのりきり、ハッチの製鉄技術者や軍事技術者を奴隷にして、肥え太ったのだ。 この奴隷制国家アッシリアが、実に、偽ユダヤ人臭さを猛烈に発散していると思う。 一神教の出も、ここではないのか、とオイラは思う? アッシュールの神の以前に、へんな宇宙人がいたのではないか、ということ?