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2024年11月04日
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 そんな彼らも、カデシュの戦いとして知られるエジプトと大戦争やったころが、国力のピークであったようだ。
 ラムセスは2万の戦車軍だったと言われるが。
 引きずってた兵站を含めると、たぶん何十万もの規模。
 都市がいくつもくっついて従軍移動していたのである。

 戦争は、勝ち負けなしであっさり終わった。
 双方とも国の内外に戦勝報告したのはもちろんだが、実際には自分たちが負けたと思っていたはず。

 ラムセスは1個軍団殲滅され、最後尾のセト軍団に辛うじて救出されて。
 ムワタリシュはオロンテス川でどうやら、溺れたらしい。
 双方ともボロボロになって現場から逃げて、引き分けて。
 結局平和条約結んだ。

 以後の彼らは衰退していく。
 エジプトも、これは同様であった。

 天変地異や気候変動が、和平に動いた主たる要因のようだ。
 力の衰えが、双方に平和条約を結ばせた、とも言える。
 その後ハッチは、あっさりと滅ぶのだ。
 皮肉にも、シュッピルリアマシュという王の頃のようだ。
 過去のデータなので今は違うかもしれん。

 しかし何がハッチを滅ぼしたのか。
 おいらは、王族の選んだ優生学だ、と思う。

 伝統のパンクシュを無視し、王族は、選ばれし少数者だけで生き残ろうとした。
 飢饉においては、強い種族のみが生き残る。
 アッシリアなどは、奴隷を食って生き残ったのである。

 奴隷制度のないハッチには、無理な芸当だ。
 飢えを忘れかけていたハッチは、食料不足から混乱状態に陥った。
 パンクシュは機能しなくなり。
 王族は諸民族の庇護者の長であるのを忘れ。
 自分たちだけ独自に生き残ろうとしていた。

 彼らは宗教にこだわり、それを1神教に統一しようとしていたようだ。
 怖い天候神も名の無い太陽の女神もお払い箱。
 北方にあったらしい、その時の王族の祖先の地を目指し、そこへと帰還しよう、ともしていたようだ。
 そんな状態の彼らに。
 西方から、飢えた蛮族がどっと押し寄せたのだ。

 重い、技術の遅れた車輪を持つ、祇園祭りの山車のような牛車に乗った、恐怖そのものの侵略者。
 食料である活かした奴隷を、その車の側面に、折れた手首でぶら下げ。
 悲鳴の響き渡る中を、遅い山車に乗った蛮族集団が進軍してくる。
 その様が記録されている。

 のちに小アジアで普通に見られるフリギア人だったらしいが。
 ミケーネやアカイワ人、ドーリア人など、ヘラスの海洋種族が固まる前の、こっちは小アジアでの出来事。

 海から来た諸種族が同盟を組み、小アジアを襲ったのが、動乱のきっかけなのだ。
 娘を血祭りにあげてのミケーネの王の出陣は、それらの前触れでもあったかのように思える。
 つまり、後の時代にホメロイタイたちに歌われた叙事詩は、このハッチ滅亡の出来事の些細な前哨戦なのである。

 アマシアは敗北して東に逃げ、タルイシャは攻め落とされた。
 港町ウラも、海中のアラシヤも、アルザワもキッズワトナもダッタシュシャも、ハクミシュも、そしてアリンナもハットウシャも、炎となった。
 最後はウガリトも、海から来た巨艦の主たちの手に落ちた。

 ウガリトでの防衛戦の話が、その地域に残されている。

 エジプト海軍とも連合艦隊を組んでいた彼らは、都市防衛のため何十隻もの増援部隊を次々と戦場に送るが。
  逆に、海上のピケラインが崩壊。
 一気に攻め込まれる。

 たった数隻の蛮族が都市に侵入して、それで大都市は瓦礫と化したと記されている。

 侵入者は、蛮族なんかではないのだ。
 敵は、数隻の乗員で大都市を崩壊させるほどの、巨大戦艦に乗っていたのだ。

 その敵も、ハッチ側では早くから掴んでいたようである。
 シェルデン、シュケレン、アカイワシャ、ルカ、ペレセト、デニエン、ウエシェシ、そして、攻め落とされたハッチ西方の諸種族も含めた連合軍であったと。

 これにはエジプト辺境のペレセト、つまりパレスチナ人も含まれていたのだ。
 過去にラムセスが、対ハッチ戦争で戦功者セト軍団に与えた、パレスチナ地域の軍団なのである。
 彼らが中核にいて手引きしていた。

 レバノン杉で作られた巨艦ゴリアテに乗った、そして食い詰めた。
 海の民の、巨大な連合軍なのである。

 ハッチは滅びた。
 だが、エジプトは辛うじて彼らに勝利し、大勢の捕虜を得たようだ。
 それはいいが、どうやって彼ら大勢の戦勝奴隷を食わせるかで、悩んでいるのである。
 結局、彼らをエジプト領パレスチナに入植させる、つまりもと来た住処へ戻させる。
 そこが領地の失脚貴族の案を採用して、食糧危機を乗り切るのだ。
 都合の悪いことは、後世には書き残さない。

 ハッチの諸民族は負けて、蛮族に食いつくされた。
 小アジアの地は、その後しばらくの間、暗黒地域となっていたのだ。

 そしてエジプト軍の捕虜となった蛮族の一部は、海の民の出発地の一つだったらしいパレスチナに、戦勝奴隷として戻されるのである。
 ペリシテ人戦士と、巨艦ゴリアテの話は、かくしてエジプトの戦勝奴隷都市ゴシェン出の民によって、できたのだと思う。

 ラムセスが、セト軍団に褒章として与えた領地の下級兵士。
 彼らが、謀反して敵の連合軍に加わっていた。
 それがわかって、領地の主であるエジプトの宰相は、宰相の地位を追われるしかなかった。
 しかし戦勝エジプト側にも、投降した戦勝奴隷たちを食わせるだけの余力がなかった。

 このことは、「大勢の奴隷を食わせたこと」がしつこく書いてあって、(什器食料を漏れなく与え、食わせたと、しつこく、ある)逆に、それでエジプト側が悩んでいたことがわかるのである。
 手元に食料が無きゃ、奴隷なんて餓死させりゃいい、と考えるのは、奴隷を認める現代のサイコパスだけだ。

 エジプトのファラオは、選ばれし民の王では、ない。
 「全ての民の」ファラオなのである。
 戦勝奴隷の食い物にも、当然、責任を持ったのである。
 マッカーサーのように。

 おいら、マッカーサーの家畜用飼料放出のおかげで、飢えることがなく済んだ。

 当時のエジプトでも、結局、もと宰相の案が選ばれたのである。
 戦勝奴隷たちは、押し込められたゴシェンで餓死する前に、食料が得られるかもしれない豊かな元の領地へと戻されたのだ。
 これが、宰相モーゼの出エジプトの話となったのだと思う。
 都合の悪い話なので、エジプト側に記録はない。

 ハッチの話が、いつしかエジプトの話となった。

 世界史の種族観はおかしいので、小アジアにハッチという部族がいなくなったら、ハッチは滅亡、と認定される。
 実際は違うのである。
 八民族は、旧ハッチの領域には、確かにいなくなった。

 しかしずっと後の時代の古文書が、「彼らのその後」を教えてくれるのである。
 多民族国家ハッチは消えたが、八民族はその後も生き残った。

 シリア地域には、クルグンマ、クンムフ、ハッチナといった諸国ができた。
 ウガリトはまとまって何処かへ逃げて復興しなかったが。
 パレスチナ地域には、エジプト出の連中や旧ハッチの連中が入り混じって、いっぱい国ができる。
 旧ミタンニや、エジプト第18王朝の末裔たちも、同じシリア地域で国づくりをしたのだ。
 
 彼らは多民族の連合体となって、民族のはっきりしない諸国となる。
 それが「ソロモンの帝国」と呼ばれる、今日の幻なのだ。

 大イスラエル実在の根拠は、「ない」そうである。
 バラバラの諸民族を、特定地域に見つけられないのだ。

 この時代には、一神教でまとまろうとする旧ミタンニやアッシリアの勢力と。
 多神教でまとまろうとする、旧ハッチ・シュメールの勢力がいたと考えていい。
 アッシリア勢力側が強く、小国を次々と併呑していった。 
 大イスラエル帝国が見つからないのは、これも当然なのである。
 彼らは都市ごとに、民族でまとまっていたのではないからだ。








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最終更新日  2024年11月05日 08時52分53秒
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