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カテゴリ:医療
「前から予想していたんだけど」でも書いたけど、気管挿管は出来ないときは出来ない。しばらく挿管していた患者では、喉頭の浮腫(むくみ)のために前回より難しいこともある。たとえ命に関わることであろうと、出来ないものは出来ないのだ。もちろんもっと技術が高く、そのような状況に慣れた医師であれば対処できたかも知れないが、それは無い物ねだりである。現にその場にいる医師やすぐに呼べる医師で対処するしかないのだ。 治療手間取り患者重体 ICUで意識不明に 彦根市立病院 呼吸器を止めて自発呼吸を観察して、問題ないと判断して抜管した。ここまでは特に問題ないだろう。出来れば再挿管も必要かも知れないと考え、準備をしておけば良かったかも知れない。30-40分間観察して再挿管に踏み切ったということであれば、すぐに重篤な低酸素血症になるとも思えない。喉頭浮腫のために呼吸が障害されているのであれば、30-40分間も観察している状況ではないであろう。とすると、挿管操作に伴う無呼吸があった可能性を考えたくなる。再挿管時の呼吸管理はどうだったのだろう。問題があるとすればここだろうと推察する。 気管挿管を容易にするために、呼吸を止めるような処置(鎮静剤や筋弛緩薬の投与)をしたのだとすれば、マスク換気が出来なかったのだろう。特に何も処置をしないで自発呼吸を残したまま気管挿管を試みたのだとすると、挿管操作の刺激で喉頭痙攣(声帯が閉じる反射)を起こしたのだろうか。いずれにせよ、修羅場に慣れている医師であれば、いろいろと対処も可能だったかも知れない。でも、修羅場に慣れていなければ医師をやってはいけないという決まりもない。 気道確保さえ出来ていれば障害の起きない症例だったかも知れない。でも、3名の医師が頑張っても対処できなかったことに対して、あれこれ責めても仕方がない。少なくとも、その3名の医師にとっては困難な状況だったのだ。その3名が特別劣った医師であり、代わりのもっと優秀な医師が簡単に見つかるというなら別だが、もちろんそんなことはあるまい。 ミラーサイトが変更になりました。 m3.com の検閲制度に反対して、脱会も考慮している医師もいる状況なのに、わざわざミラーサイトを作るのは少々気が引けている。しばらく続けてみて、具体的に問題が持ち上がったら、やっぱり引き上げるのかな。あくまでミラーサイトなのでいつでもやめられるし。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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