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医療報道を斬る

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2007.07.16
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カテゴリ:医療
犯人を 誰にしようと 言うのだろう



 監視モニターの警報は実際には役に立たない。ちょっとした体動や他の人が触るなどの行為で心電図は乱れるからだ。そのたびに警報が鳴るので、そのうちに警報が鳴っても見向きもしなくなる。どうせ役に立たないのなら、迷惑にならないように音量を絞ることもあるだろう。実際には役に立たないのに、あたかも役に立つかのような建前があることが問題なのだろう。

 いや、もちろん警報が鳴るたびに確認すれば、希にはある本当の危機に気がつくことは確かだ。でも、そのようなことが可能になるためには、どれだけの人員が必要なのだろう。少なくとも今の医療費で可能になるとは思えない。結局、あり得ない(ほどひどい)体制で、あり得ない(ほど濃厚な)サービスを求めているのだろう。いつものことだ。
  
心肺停止だった患者が死亡 業過致死容疑で司法解剖へ

記事:共同通信社 【2007年7月13日】


 横浜市立脳血管医療センター(同市磯子区)で、看護師らが監視モニターの警報音に気付かず、脳出血で入院していた50代の男性患者が心肺停止となった医療事故で、市は13日、男性が死亡したと発表した。

 磯子署は、業務上過失致死の疑いもあるとみて、遺体を司法解剖して死因などを詳しく調べる。

 市によると、男性は5月に入院。血腫の除去手術後、呼吸補助器を付けて経過観察していたが、今月4日午前8時半ごろ、監視モニターの緊急アラームが鳴ったまま心肺停止状態になっているのを看護師が発見した。

 監視モニターのアラームの音量が最小に設定されており、看護師らは警報音に30分以上気付かなかったという。

 センターは蘇生(そせい)措置を取り、心拍が再開したが、意識不明の状態が続き、男性は13日午前6時すぎ、死亡した。

 市は男性の家族に謝罪。事故調査委員会を設置し原因を調査している。



 これは以下の記事の続報だ。
警報気付かず男性患者重体 横浜の病院、音量最小で
記事:共同通信社 【2007年7月9日】


 横浜市は7日、市立脳血管医療センター(同市磯子区)で、脳出血の手術後に入院していた50代の男性患者に付けた監視モニターの警報音に看護師らが30分以上気付かず、男性が一時心肺停止状態になる医療事故があったと発表した。

 心拍は間もなく再開したが、男性は意識不明の重体。意識が回復しても脳に障害が残る可能性があるという。

 同センターによると、男性は5月に脳出血で入院。血腫の除去手術後、呼吸補助器などを付けて経過観察していたが、今月4日午前8時半ごろ、監視モニターの緊急アラームが鳴ったまま心肺停止状態になっているのを看護師が発見、蘇生(そせい)措置を取った。

 モニターなどの記録によると、同日午前7時前、何らかの原因で呼吸補助器の電源が切れ、同7時52分に血中の酸素濃度の異常を示す警告アラームが作動。その後緊急アラームも2回鳴っていた。だが、10人いたナースステーションの看護師は、アラームの音量が最小に設定されていたため誰も気付かなかったという。呼吸補助器の電源が切れた原因は不明。

 同センターは事故調査委員会を設置して原因究明を進めるとともに、アラーム音量を大きく設定する措置を取った。



 業務上過失致死という犯罪の疑いなのだから、当然犯人が居ると言うことなのだろう。心停止の原因は人工呼吸器の電源が切れたことのようだ。そうすると犯人は人工呼吸器の製造元か。それとも人工呼吸器を点検する責任者か。それにしても、原因となった呼吸器の不具合がさらっと流されて、警報音ばかりにこだわるのは何故だろう。最初は、特に原因が無く、自然に心停止になったのかと思ってしまった。

 死亡の原因を放置して、警報に気がつかなかった看護師を責めようというのは明らかにおかしい。たとえ警報に気がつかなかったことが問題なのだとしても、実際には役に立たない誤警報ばかりのモニターを作った製造元を責めればよろしい。あるいは、誤警報ばかりだとしても、何度でも確認しろというのであれば、それを可能にするだけの人員を雇えるだけの医療費を支払わない行政を責めるべきだ。

 実際のところ、自分では呼吸も出来ない状態になった原因は脳出血という病気だ。誰かが脳出血を起こさせたわけではないのだ。元々元気な人を死なせてしまう交通事故とは違うのだ。医療事故に業務上過失致死は、あまりにひどい事例を除けば、そぐわないのではないだろうか。

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Last updated  2007.07.16 09:55:16
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