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カテゴリ:医療
企業の様々な不祥事の対応から、学ぶことはたくさんある。以前からそう思っていたのだが、先日、詳しく分析した方の講義を聴く機会を得た。不祥事そのもので糾弾されることは仕方がないが、その後の対応が批判されるようでは傷口を広げる。雪印の食中毒の事例から学んでいれば、実際には食中毒を起こしたわけでもない不二家が、あれほど糾弾されることはなかったかも知れない。 大雑把にまとめれば、以下のようなことであろうか。自ら進んで、出来るだけ早く、何事も隠さず公表すること。自分たちの論理や業界用語で説明するのではなく、説明を受ける側に理解されるような論理とわかり安い説明を心がけること。保身に走ってメディアや背後にいる大衆を怒らせないこと。記者会見前にはシミュレーションをしておくこと。記者会見場は出来るだけ広く取って、目の前にカメラが並ぶことの無いようにすること。たとえ原因が明らかになっていなくても、被害があれば、被害そのものに対しては謝罪をすること。見られて困るようなメモは持ち込まないこと。常に誠実で冷静な態度を保ち、挑発に乗らないこと。 大変勉強にはなったが、出来ればその様な体験はしたくない。特に最後の忠告は、私にはとても出来そうにない。 只、少し気になったのは、医療では事情が異なることだ。医療関係者の常識と、一般の人の常識があまりにもかけ離れているという現実がある。医療の世界では、誤診があることは当たり前だし、病気が治らないことがあるのも常識だ。また、死が避けられない状態では、何が直接の死因になるか分からない。癌の末期や、高齢者の重症肺炎で何時亡くなるか分からない状況では、誤嚥で亡くなったとしても医療事故ではないと医師は考える。でも、それが世間に通るとは限らない。 これだけお互いの常識が違うと、何を持って不祥事とするかと言うことに合意が得られない。メディアや大衆を怒らせるなと言っても、こちらは何も悪くないと思っていて、その様な態度を取れば、きっと怒るだろう。 もう一つ気になったのは、大淀病院の件だ。講師は実際にたらい回しがあったと思っているようなのだ。「たらい回し」と言う言葉に医師が過剰に反応していると思っているらしい。他でも同じ講演をするだろうから、質問の時に訂正しようと思っていたのだが、残念ながら時間が無くて、質問も発言も許されないまま終わってしまった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.07.19 15:03:23
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