1588144 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

医療報道を斬る

医療報道を斬る

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

Freepage List

Keyword Search

▼キーワード検索

Profile

Dr. Bamboo

Dr. Bamboo

Calendar

Favorite Blog

  皮膚科医独身の… 皮膚科医独身さん
臨床の現場より head&neckさん
めんどうはごめんだ お前に云えないさん
Green-Note Green-Noteさん

Comments

一個人@ Re:パパラッチ?(05/29) 前橋市は県内で唯一の医学部のある大学が…
dho@ Re:越権行為じゃない?(06/24) 法医学の観点から客観的事実を述べること…
wadja@ Re:報告(07/13) 心からお悔やみ申し上げます。ネットの掲…
Kosuke@ Re:報告(07/13) Dr.Bambooさんの書き込みを初めて拝見した…
キンシャチ@ Re:報告(07/13) ご冥福をお祈りします。 しばらくブログ…

Headline News

2007.07.21
XML
カテゴリ:医療
警報も 鳴りっぱなしじゃ 役立たず


 モニター機器の警報の誤作動については何度も書いたが、心電図モニターのダブルカウントによる誤作動は、警報が鳴りっぱなしになることがあるため、警報を解除せざるを得ないことがある。ダブルカウントとは、本来なら一拍にあたる一連の心電図波形を、二拍分に数えてしまうことである。当然心拍数は二倍に数えられるため、異常な頻脈と見なされ、警報が鳴るのだ。実際には問題ないのに警報が鳴り続ければ、警報を解除するのはやむを得ないだろう。

名大病院の患者死亡事故:警報機能解除か 事故調が報告書
記事:毎日新聞社 【2007年7月20日】

 名古屋大学医学部付属病院(名古屋市昭和区、松尾清一院長)で今年3月、患者の心電図などを監視するモニター装置の警報音が鳴らず、不整脈の発見の遅れで70代女性を死亡させた事故で、同病院は19日、外部識者らで作る事故調査委員会の報告書を発表した。事故原因について、手術関係者が警報機能を手動で解除した可能性が高いと指摘した。

 病院によると、患者のペースメーカーが手術時に作動、モニターの心拍数が誤表示されて警報が鳴った。関係者が一時的に警報機能を解除したが、手術後、元に戻さなかったとみられ、約1週間後、患者が不整脈を起こした際、発見に8分間かかった。患者は昏睡(こんすい)状態となり、同月中に死亡。警報機能を誰が停止したかは特定できなかったという。【安達一正】


 毎日の記事だと、手術から約一週間後に問題が起きたことが分かるが、手術の内容が分からない。元々ペースメーカーを装着した患者だったように読めるが、後で分かるように心臓の手術なのであれば、手術中に装着した可能性もある。うちでは手術中に使うモニターと、術後に使うモニターは別物なのだが、名古屋大学では同じモニターをICUまで持っていくのか。初めて聞いた。

 なんだか毎日の記事を読むと、警報を解除した人物が特定出来れば、犯人として業務上過失致死で書類送検でもされそうに思える。そんなつもりで書いたのだろうか。「死亡させた」のだから、そうなのだろう。

救命遅れた重体の患者死亡 名大病院、県警が聴取


記事:共同通信社 【2007年7月20日】

 名古屋大病院(名古屋市、松尾清一(まつお・せいいち)院長)で3月に心臓手術後の70代の女性患者が不整脈のアラーム装置が作動せず救命措置が遅れ、重体になった事故で、同病院は19日、女性患者が既に3月下旬に死亡していたことを明らかにした。

 名大病院によると、愛知県警が病院側から通報を受け、関係者を任意で事情聴取。病院は同日、院内に設置した事故調査委員会の報告書を公表した。

 女性患者は2月に重い心臓病で搬送され、手術を受けた。3月上旬に集中治療室(ICU)で心室細動という不整脈を起こしたが、アラームが鳴らず、医療スタッフが約8分間異常に気付かなかった。その後、意識不明の重体になり、事故から十数日後の3月下旬に死亡した。

 事故調査委員会の報告書などによると、原因は医療機器に心拍数が2倍に誤表示されたため、スタッフが調整中に不整脈を察知する重要な心電図アラームをオフにしたと推定している。

 病院は「患者と遺族に申し訳ない」と謝罪したが、「患者は司法解剖され、捜査対象になっているので死因などは言えない」としている。


 共同通信の記事では、警報を解除した時期や術後どれだけ経って問題が起きたのかは分からないが、心臓病の手術を受けたことは分かる。また、毎日では単に不整脈とされていたのが、心室細動という致死的不整脈であったことも分かる。両方を読んで推測すると、次のような事例だったのだろうか。

 重い心臓病で手術中に、元々あったペースメーカーか、手術中に装着したペースメーカーかはともかく、ペースメーカーの波形を拾って、心拍数が倍に数えられ、警報が鳴りやまない状態になった。うるさいので警報を解除した。手術が終わり、ICUに移されたが、手術中に使われたモニターをICUでも使用した。警報は解除されたままなので、一週間後に心室細動になっても警報が鳴らなかった。

 ところで、ICUではペースメーカーはどうなっていたのだろう。作動していたのであれば、やはりダブルカウントしたのではないだろうか。そうであれば、やはり警報を解除したままにせざるを得なかったことになる。そもそもダブルカウントするような機械しかないことが悪い。

 警報が鳴っていれば、確かに治療は早く行えたであろう。でも、心室細動は致死的不整脈だ。除細動をしたからと言って、必ず助かるとは限らない。そして、最も重要なのは、誰かが心室細動を起こさせたのでは無いと言うことだ。元々致死的状態にある患者の治療が遅れたからと言って、「死亡させた」はないだろう。

ミラーサイト





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2007.07.21 17:46:08
コメント(0) | コメントを書く



© Rakuten Group, Inc.
X