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カテゴリ:医療
トンデモ判決の裏にはトンデモ鑑定がある。そのような事例を何度も見てきた。多くは現場から退いた「偉い人」によるものだと考えている。教科書や文献による、観念だけの医療観で、机上の空論や後出しじゃんけんを乱発しているように見える。 ところが今回、「東京女子医大事件」を調べていたら、メディアから神の手と褒めそやされている南淵氏が証言をしているという情報を得た。第一審で証言し、今度の第二審でも証言するそうだ。自分では診療をしない教授連とは違い、彼はばりばり現役の心臓外科医だという。期待していいだろうか。 南淵氏は多くのテレビ番組に出演している。日本の医療に多くの問題があること自体は事実だろうし、彼が専門とする心血管外科の領域では、施設間の技術の差が非常に大きい。メディアに登場して医師養成法などについてあれこれ意見を言うこと自体には賛成したい。でも、私が見たのはごく一部だが、彼の発言態度を見ていると、真摯に日本の医療を改善しようとしているようには見えなかった。メディアに持ち上げられて、舞い上がっているように見えたのだ。 自分は名医として高いところにいて、並の医者の間抜けぶりを冷笑している。それを視聴者は南淵氏と同じ目線で眺めている。そんな番組が多かったように思う。我々麻酔科医にとっては、「外科医が麻酔をして何が悪い」と言う発言もあって、すこぶる評判が悪い。 念のために言っておくが、外科医が麻酔をすることが悪いと言っているわけではない。麻酔という医療行為を舐めたりせず、真剣にやってくれるのなら、それなりに安全に麻酔を行うことは可能だろう。でも、麻酔なんて外科医でも出来るというオーラ満開で「外科医が麻酔をして何が悪い」と言えば、たいていの麻酔科医は怒る。そして、麻酔科医が怒ることを承知で南淵氏は言ったのだ。 どうも私には南淵氏は慢心しているように思える。慢心している医師の証言が、たとえ現場を知っていたとしても、どんな内容になるのか心配である。一審を傍聴した方や、二審を傍聴する方、情報公開をしてもらえないだろうか。大野病院の件のように、ロハス・メディカル・ブログでやってくれないかな。 東京女子医大事件とはこんな事件。 手術で死亡、医師無罪…東京女子医大事件 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.08.03 20:20:09
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