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カテゴリ:医療
奈良県で死産の妊婦をいくつもの病院が受け入れられなかったことについて、奈良県立医大附属病院がホームページで「今般の妊婦救急搬送事案について」と言う説明をしている。それを読むと、当直医は一睡もしないで次から次へと仕事をしていたことが分かる。もちろん次の日も引き続き通常勤務をしているのだ。その働きぶりを引用する。 平成19年8月28日の当直日誌記録より トラック業界でこのような勤務体制をしいたら、経営者は処罰されるだろう。でも、人命を預かる医師をこのような勤務に従事させ、堂々と公表しても院長は処罰されることはない。トラックの運転手が過労で事故を起こすことは許されないが、医師が過労で事故を起こそうがかまわないと言うことなのだろう。 これほどの激務をこなしていたというのに、今回の件で奈良県立医大には多くの抗議の電話があったという。考えてみれば分かることだが、今回の事例でも、搬送先を探していた救急隊は他の救急要請には対処出来なかったはずだ。他の患者にかかりきりになっているときには、新たな患者の診療は出来ないと言う、当たり前のことがどうして理解出来ないのだろう。 そもそもこれらの当直医の勤務状況は当直ではない。当直というのはちょっとした雑用や、滅多にない緊急事態に備える勤務を言うのだ。毎度毎度診療に追われるのは立派な夜勤だ。交代性で行われなければならないのだ。 たとえば救急隊と比べてみよう。地域によって違いはあるかも知れないが、私の居住地では、救急隊の勤務は24時間連続勤務だ。出動しなければ仮眠も可能だが、それでも24時間全てが勤務時間だ。だから、三日に一日だけ働けばよい。一方医師は、たとえ一睡もしなくても当直なので勤務ではないと見なされる。だから連続30時間以上の勤務が放置され、その前後にも休日はない。 既に人間の限界を超えるような勤務態勢を放置して、それでも不十分だとしたら、体制そのものを抜本的に変えなければ立ちゆかないことくらい、行政も、メディアも、国民も、理解しよう。一度完全に崩壊しなければ理解出来ないのだろうが。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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