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カテゴリ:医療
高学歴で賢いと思われている人の間抜けな行為を見ているのは楽しい。それにピッタリのマジックがあって、私は同じマジックを別の番組で3回見た。トリックは簡単で、と言うよりも、トリックなどは無いも同然。私が見た被験者(被害者)は全員アナウンサーだった。アナウンサーは高学歴だし、いかにも賢そうだし、罪のないトリックで笑いものにするにはうってつけなのだろう。 マジシャンは被験者の左側に立ち、左手の手の平を被験者の目の前に差し出す。右手でティッシュペーパーを丸めた程度の大きさのもの(何でも良い)をつまみ、手の平に軽く打ち付けるように数回動かす。するとあら不思議、いつの間にか右手に持っていたものは消えている。 消えたと思っているのは被験者だけで、周りで見ている人たち(テレビの視聴者も)には何が起きたかよく分かる。マジシャンは被験者の肩越しに投げ捨てただけなのだ。(音のするものは助手が受け取る)でも、何度やっても被験者には分からない。だんだんものを大きくしても、リンゴやトイレットペーパーのロールくらいでは分からない。さすがにティッシュの箱くらいになると分かる。そして後ろを振り返って愕然とする。 周りで見ていると、被験者は本当に間抜けに見える。でも、人間の注意力なんてそんなものなのだ。答えを知っていれば簡単なことでも、答えを知らない状況では困難なことなどいくらでもある。私には、そんなことすら考慮しない裁判のあり方がとても不合理に思える。 名張市立病院:がん診断ミス、伊賀の男性死亡 2305万円賠償で示談へ /三重 記事では良性の腫瘍と判断された時期と、他施設で転移を伴ったガンと診断された時期との経過が分からない。両者の時期がほとんど同時であったのなら、名張市立病院の診断能力に問題があったとも言えるだろうが、すでに転移があったのであるから、結局は助からなかっただろう。とすれば、実害はなかったと言うことになり、賠償責任はないと思われる。 あるいは、良性の判断からガンの診断まで時間がかかっていたのであれば、それだけガンの診断が容易になっていたはずであり、名張市立病院の診断能力を問題にするのはおかしいと言うことになる。どちらにしても、賠償責任はないと思われる。 それでも、4人の専門医が名張市立病院のMRIを見て、「がんを疑うべきだった」との所見が示されたのだから、賠償責任はあると判断したのだろう。でも、前述したマジックを思い出して欲しい。トリックを知っていればマジックには引っかからない。答えを知っている人が、知らない人の判断について評価するのは誤りなのだ。 今回の事例で「がんを疑うべきだった」と正確に判断するためにはどうしたらよいだろう。刑事事件の面通しが参考になるかも知れない。似たような画像ではあるが、良性のMRIを数枚、ガンのMRIを数枚用意し、その中に鑑定すべきMRIを紛れ込ませて、全体を鑑定してもらう。鑑定医の全員が良性の画像を良性と判断し、ガンをガンと判断し、問題の画像もガンと判断したのであれば、名張市立病院の診断能力に問題があることは明白であり、賠償責任を問われることは避けられないかも知れない。でも、こんな作業が行われたとは思えない。 そして最後にもう一つ、最初から正しく診断したら、必ず助かったという根拠は何だろう。「診断ミスで死亡」と言うからには、診断ミスがなければ必ず助かったのでなければならない。医学常識からすれば、この表現は明らかな虚偽と言わざるを得ないと思うがどうだろう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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