医療行為には危険がつきものだ。どのような医療行為にも、それなりに危険はある。風邪薬の内服だって、死ぬこともある。結果が悪かったら賠償責任を負わされるのであれば、該当する医療行為の保険点数を大幅に上げなければバランスが取れないだろう。
秋田市立病院の医療過誤訴訟:秋田市の敗訴確定 最高裁、上告棄却 /秋田
記事:毎日新聞社 【2007年9月21日】
秋田市立秋田総合病院で採血を受けた際、神経を傷つけられ左手に障害が残ったとして、潟上市の元飲食店経営の女性(58)が秋田市に約3500万円の賠償を求めた訴訟で、最高裁第3小法廷(那須弘平裁判長)は18日付で、市側の上告を退ける決定を出した。女性側が逆転勝訴した2審・仙台高裁秋田支部判決(今年1月)が確定した。
市に約1028万円の賠償を命じた2審判決によると、女性は01年9月、持病の検査のため採血を受けた直後から左腕に痛みを訴え、しびれや運動まひなどの後遺症が左手に残った。
1審・秋田地裁は05年3月、女性が採血時に電撃的な痛みを訴えなかったことなどを理由に「採血で神経が損傷されたとは認められない」と請求を棄却した。だが2審は「細い神経は、針に刺されても電撃痛が生じるとは限らない」との鑑定などを基に、一転して、採血と後遺症との因果関係を認めた。【高倉友彰】
細い神経なら刺しても電撃痛が起きるとは限らないという判断は、誰がどのような根拠に基づいて行ったのだろう。それが本当かどうか知らないが、電撃痛を起こさないような神経を刺したからといって、神経障害が起きる可能性はどれくらいだろう。
見出しでは
医療過誤訴訟となっているが、記事を読む限り、本来避けなければならないような太い神経を刺したのではなさそうだ。だとすれば、本当に因果関係があったとしても、採血に伴う極めて希な、
避けられない合併症なのだろう。
過誤ではない。今まで例に無いような希な合併症であれば、説明責任も無いだろうし、通常は運が悪いとあきらめて貰うしかないと思う。
賠償責任を負わされるべきハイリスク行為に対しては、ハイリターンでなければ業務として成り立たない。現状はとてつもないハイリスク・ローリターンなのだ。まだ現状に幻想を持っている病院幹部も多いので、生き残りに必死になっているが、医賠責が大幅に値上げになれば、どうあがいても経営が成り立たないことに気がつくだろう。そのとき、日本の医療に完全に幕が下りる。