報道というのは事実を知らせることなのだから、保険診療で人間ドックは出来ないと言う事実も知らせて欲しい。特に症状のない疾患についても調べて欲しければ、自費で健康診断を受けるべきなのだ。
総合水沢病院:胃がんで死亡、遺族に賠償金支払い決める----奥州 /岩手
毎日新聞社 【2007年9月26日】
奥州市立総合水沢病院は、胃がんで昨年8月に死亡した女性(当時74歳)の遺族に損害賠償金300万円を支払うことを決めた。「早く胃の検査をしていればいくらかでも延命が可能であり病院の不手際で死期が早まった」と遺族から損害賠償を求められていた。
女性は91年11月に胃潰瘍(かいよう)で入院して以来、ほぼ定期的に病院を利用し主に糖尿病の治療を受けていた。01年5月の内視鏡検査で胃潰瘍が治っていることが確認されていた。その後腹痛や体重の減少を訴えたため昨年5月に内視鏡検査を再度行ったところ胃がんが分かった。
病院の梅田邦光管理者は「治療ミスや不手際はないが、(昨年5月の)内視鏡検査を早くしていればがんが見つかった可能性はあった。円満な解決を目指し双方の弁護士が重ねた協議結果を受け入れることにした」と話した。【石川宏】
胃潰瘍の治癒が確認されたのは01年5月。消化器症状が出現して検査したのが06年5月。つまり、胃潰瘍治癒から5年後に癌が発見されたことになる。症状があったにもかかわらず検査していなかったわけではなく、症状の訴えがあったときには癌が進行していたのだ。その間は通院していたとはいえ、糖尿病の治療をしていたのだ。
症状が無くても検査するのは健康診断であって、通常の保険診療は認められない。症状が無くても念のためにいろいろな疾患を見つけて欲しければ、自費で人間ドックなどを受けて貰うしかない。このケースでは医師の対応に全く問題はなさそうだ。
病院側がどうして賠償金を支払うことにしたのか理解に苦しむ。実際に診療に当たった医師にしてみれば納得行かないだろう。円満な解決であれば、保険医療体制の根幹に関わる問題を無視していいのだろうか。どうせ自分が払うのではなく、税金なのだから構わないのだろうか。
他の患者も同じように、通院していればどんな病気も発見出来るはずだとゴネたら、同じように対応するのだろうか。