前回ガン検診について書いたら、またガン検診がらみの記事を見つけた。実際には結核のための検査だったのだと思うが、胸部エックス線写真で影があったのに放置し、末期ガンとなったと言うことらしい。
単純胸部レントゲン撮影・喀痰検査による肺ガン検診の有効性はほとんど認められていないようだ。
ここにもそのような記載がある。また、
こちらのサイトには、胸部レントゲン写真で発見された肺ガンの生存率は30~40%と書かれている。
刑務所健診で国に賠償命令 医務官がん見落とし
記事:共同通信社 【2007年10月17日】
山形刑務所の健康診断で医務官が肺がんの兆候を見落としたとして、服役していた仙台市の男性(55)=刑の執行停止で釈放=が、国に約7400万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、仙台地裁は16日、約4850万円を支払うよう命じた。
潮見直之(しおみ・なおゆき)裁判長は「エックス線画像だけで肺がんの可能性を否定した医務官の判断は誤りで、速やかに検査すべき注意義務があった」と指摘。「医務官の過失がなければ、手術で根治した可能性が高い」と述べた。
判決によると、男性が服役中だった2004年10月、胸部エックス線検査で左肺に陰影が見つかったが、医務官は肺がんかどうか診断するための検査をしなかった。その後、外部の病院で末期の肺がんと診断された。
男性は強盗致傷罪などで山形刑務所に服役していたが、治療のため刑の執行が停止された。
法務省矯正局成人矯正課は「判決内容をよく検討し、適切に対応したい」としている。
実際に服役囚がどのような犯罪を犯したのか、医務官にとってガンの検査をするのにどのような障害があったのか、私には分からないので、「自分の欲望のためには他人を傷つけても構わないのに、自分が誤診されたら文句を言うのか」とか、「たとえ服役囚といえども人権があるのだから検査をするべきだった」などと言うつもりはない。ただ単に、医学的におかしい点についてだけ述べることにする。
すでに述べたように、肺ガンの予後は決して良くはない。胸部レントゲン写真で影があり、それが肺ガンだとすれば、助かる可能性の方が少ないだろう。そのような医学的事実を無視した判決が、どうして出たのだろう。また、トンデモ鑑定医が活躍したのだろうか。
「医務官の過失がなければ、手術で根治した可能性が高い」と言うのは全くの誤りだと思う。