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医療報道を斬る

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2008.06.20
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カテゴリ:医療
 いつもは医療に警察が介入することに批判的なのだが、伊賀の点滴による集団感染については筆も鈍る。そのことを非難する某掲示板での書き込みもあるが、要するに、今回の事件は身につまされないのだ。

 福島県の大野病院や、奈良県の大淀病院の事例なら、専門は違っても、自分ならもっと酷い対応しかできなかったかも知れないと思う。また、たとえ致命的な失敗だったとしても、ついうっかりすることは自分にもあることなので、当事者を罰してお終いにするのではなく、うっかりミスが重大な事態にならないようなフェイルセーフシステムの構築を望みたい。

 詳しい分析はDr. I 先生の点滴作り置きは、「悪」か?でなされているので、興味のある方はご覧ください。リンク先はシリーズの現時点で一番新しいエントリです。出来れば最初からどうぞ。

 当ブログでは、さらっと流す予定ですが、最新の情報では、作り置き以外に清潔操作に重大なミスがあった模様です。

残液と消毒綿容器からセラチア菌検出 三重・点滴事故
2008年6月19日13時31分 asahi.com

 三重県伊賀市の診療所「谷本整形」(谷本広道院長)で鎮痛薬の点滴を受けた患者が相次いで体調を崩し、1人が死亡した医療事故について、三重県は19日、同診療所で汚染された点滴液による院内感染だったと断定した。15人の患者が出た9日の被害について、患者の血液や使用済みの点滴液の空容器の残液点滴液の調合の際に使う消毒綿の容器から同じ種類のセラチア菌を検出。消毒綿の汚染と点滴液の長期の室温保管で、点滴液内に菌が増殖したことが原因としている。

 県保健環境研究所による検査で、9日に点滴を受けた患者6人の血液、点滴液の容器7パックの残液、消毒綿の容器から、セラチア菌の一種、「セラチア・リクファシエンス」が検出された。

 県によると、同診療所では点滴液を調合する際、点滴容器の注入口を消毒綿でふいていた。消毒綿には、アルコールではなく、本来10~50倍に薄めて使う消毒液「グルコン酸クロルヘキシジン」を千倍にして使っており、県は殺菌効果がなかった可能性が高いとみている。消毒綿は日常的に作り置きされ、看護師らは、素手で脱脂綿をつかんで容器の中に入れて作っていたという。不衛生な環境での点滴液の作り置きが常態化していたとみている。

 看護師らは作り置きした点滴液が少なくなると追加で調合。診療終了後の余りは捨てずに、日常的に冷蔵庫でなく机の上で保管して翌診療日に持ち越していた。7日以前に作られ、月曜日の9日に持ち越されたのは20本以上あった。ただ、点滴液に調合日の記載がなく、何日に調合されたものか分からないという


 実を言うと、最初にこの事件を知ったとき、朝作った点滴を夕方使用したのだと思っていた。それで敗血症になることがあるとは信じられないと思っていた。麻酔導入に使用するプロポフォールという静脈麻酔剤はとても腐敗しやすいのだが、それでも注射器に詰めてから8時間までは使用可能となっている。特に感染の危険のある高カロリー輸液であっっても、清潔操作を心がければ24時間くらいかけて輸液しても問題ないはずなのだ。

 でも、徐々に情報が出てくるに従い、これはとんでもないことが行われているのかも知れないと思うようになった。その後の院長の弁明を見ても、なんだか胡散臭い。「うちには風呂がないんです」と言うのを聞いて、「何だろうこの人は」と思った。

 あくまで上で示した報道が正しいという前提だが、この診療所の衛生観念はあまりにも酷い。セラチア菌は何処に出もいる常在菌で、水たまり=セラチア菌 と言っても間違いではないくらいだ。最近は消毒用アルコール綿は単包装になっているものが多いが、作り置きのアルコール綿によるセラチア菌感染が教訓になっている。それがこともあろうに効果がありそうもない濃度の消毒薬内でセラチア菌を繁殖させ、点滴内容を汚染し、更に数日放置して繁殖するに任せたのが事実なら、あまりにも酷い。

 と言うわけで、今回の事例はちっとも身につまされない。自分なら決してしないことだからだ。だからといって、警察に任せるべきだと思っているわけでもない。やはり罰するためではなく、真相を究明し、再発防止に役に立つ調査機関が欲しいことに変わりはない。只、今回は声高に言いにくいだけなのだ。





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Last updated  2008.06.20 17:43:21
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