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2008.06.27
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カテゴリ:医療
 「謝罪」を辞書で引くと「罪やあやまちをわびること」とある。つまり、謝罪するということは罪や過ちを認めることなのだ。でも、「申し訳ない」とか「済みません」と言ったからといって、罪や過ちを認めたとは限らない。たとえば金メダルを期待されているアスリートが敗れたとき、「期待に応えられなくて申し訳ありません」と言ったとしても、何らかの罪や過ちを認めたわけではないだろう。それはただ単に、遺憾の意(残念な気持ち)を表明しているだけなのだ。医師だって、患者が亡くなれば「亡くなったのは私の責任ではありません」などといきなり言ったりはしない。「お役に立てなくて申し訳ありません」とか「大変残念です」などの遺憾の意を表明する医師が多いだろう。法的責任を問われかねない局面では、謝罪と遺憾の意の表明の区別は重要だと思う。

医療事故「謝罪マニュアル」 社会保険連52病院で導入へ

 全国で52の社会保険病院を運営する「全国社会保険協会連合会」(全社連、伊藤雅治理事長)は、医療事故が起きた際、患者本位の姿勢で対応する方法を示した米国の「医療事故・真実説明・謝罪マニュアル」をグループ病院で実施することを決めた。医療事故の際、患者側に十分な説明をしない病院が少なくない中、大手病院グループが謝罪マニュアルの実施に踏み切るのは初めて。

患者側に十分な説明
 「謝罪マニュアル」は米国のハーバード大医学部の関連16施設で用いられており、昨年3月に発刊された。日本では同11月に翻訳されている。

 同マニュアルは、医療事故が発生した際は、隠さない、ごまかさない、逃げない姿勢が正しいと強調。〈1〉過失の有無が不明な段階でも、分かる範囲で状況を説明し、責任があることを表明する〈2〉遺憾の意を表す〈3〉過誤が判明した時は謝罪する〈4〉再発防止策を示す――などの対応方法を具体的に示している。

 マニュアルに従って行動したことで、米国ミシガン大病院と関連施設では、4年間に訴訟やクレームの件数が56%減少し、訴訟費用も300万ドルから3分の1に削減されたという。訴訟になった場合でも、謝罪したことを法廷で医師に不利な材料としないよう州法で定めた州もある。

 読売新聞社が先月、52の社会保険病院にアンケート調査したところ、39病院(75%)が既に「読了」し、いずれも「賛同する」と回答。「既に実施」が9、「今後実施する」が29、無回答が1病院だった。実施した際の効果については、以前から同様の方針で患者に対応してきたという病院を含め12病院が「大変効果がある」、15病院が「少し効果がある」と答えた。全社連は9月の各病院の管理者会議などで実施を徹底する。

 全社連の今年3月の統計では、1998~2006年度の9年間で計407件の医療事故などが報告され、28件が係争中、87件で患者側と交渉が続いている。

 伊藤雅治理事長の話「医療事故の民事訴訟は、患者、病院側双方が納得のいく解決方法にはなりえない。事実を隠さずに伝え、患者側と対話することで決着を目指す医療を進めたい」

 謝罪マニュアル 原題は「When Things Go Wrong:Responding ToAdverseEvent」(トラブルが起きた時~医療事故にどう対応するか)。翻訳した埴岡健一・東大特任准教授らのグループは、原著の趣旨をくみ、邦題を「医療事故・真実説明・謝罪マニュアル」とした。

(2007年8月14日 読売新聞)


 この「医療事故・真実説明・謝罪マニュアル」の肝は、責任逃れをせずに、過誤があれば素直に認め謝罪するということだろうと思う。当然のことながら、何ら過誤がない場合には謝罪ではなく、遺憾の意を表明するだけだ。その違いを知らないのか、知っていてもミスリードするつもりなのか、こんな記事を書く新聞社がある。

医療事故マニュアル:まず患者に謝罪 過誤判明前でも--全社連採用

 全国52カ所の社会保険病院を経営する全国社会保険協会連合会(全社連、伊藤雅治理事長)は、医療事故が起きた際に、過失の有無に関係なく患者側にまず謝罪することを柱とした「医療有害事象・対応指針」を策定し、今月から運用を始めた。責任が明らかになるまで謝罪はしない多くの医療機関とは正反対の対応で、病院グループ全体でマニュアル化した例はないという。全社連は「患者本位の医療への一歩」と説明している。

 指針の基になったのは、米国ハーバード大医学部が06年に刊行した「真実説明・謝罪マニュアル」。東京大の研究者グループが翻訳し、全社連が日本の病院向けに修正したうえで大手病院グループで初めて採用した。

 指針は「隠さない、逃げない、ごまかさない」が基本方針。過誤の有無が明らかでない段階でも、患者の期待に反した結果になったことへの「共感表明謝罪」をするとしたのが特徴だ。

 具体的には、従来は「院内で十分検討した後、病院の統一見解を患者に説明する。親切心や同情で、安易に責任を認めたり補償を表明するのは慎まねばならない」としていた点を、「何が起こったかを直ちに説明し、遺憾の意を伝える」と改めた。最初の説明役についても、「診療科の責任者や病院管理者が複数で」としていたのを「治療を実行した担当医が適任で、担当看護師の出席も患者の助けになる」と変更した。

 同様の対応を04年から実践していた社会保険相模野病院(神奈川県相模原市)では、職員からの有害事象(患者に望ましくない事態が発生すること)の報告が倍増し、透明性が飛躍的に高まったという。指針策定の中心になった沖田極・下関厚生病院長は「医療事故の紛争の多くは、最初のボタンの掛け違いが原因。患者と医師の仲立ちをするメディエーターの養成も進め、新たな医療安全文化を育てたい」と意気込む。

 「謝罪マニュアル」の普及を進めている埴岡健一・東京大特任准教授は「患者と医療側が同じ目線に立った画期的な取り組み。国立病院機構なども追随してほしい」と話している。【清水健二】
毎日新聞 2008年6月25日 東京夕刊


 読売新聞の記事は10ヶ月前の記事で、まだマニュアルを採用するかどうかの検討段階のものだから、その後最初から謝罪するように変更になったのかと思った。でも、記事を読み進むと、やはり「遺憾の意」と書いてある。見出しは明らかに「遺憾の意」を「謝罪」にすり替えている。おそらくマニュアル自体は以前と大きな変更はないのだろう。そうすると、「遺憾の意」と「謝罪」を番号まで振って区別しているのに混同したことになる。実際には署名記事でありながらマニュアルそのものを読みもせずに記事を書いているのだろう。読んでいてこんな見出しを付けたのだとしたら、よっぽどの間抜けか悪意の持ち主だと思う。

 マニュアルはここで読めます。私には「責任を取る」のニュアンスが英語と日本語ではだいぶ違うのではないかと思われました。また、「過誤」の定義にも違和感があります。





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Last updated  2008.06.27 05:35:29
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