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医療報道を斬る

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2008.08.19
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カテゴリ:医療
 今日の日記は、明日の福島県立大野病院産科医逮捕事件の判決を前に、被告医師と当日現地でシンポジウムを行う人々を応援するための運動の一環として書いています。

 このブログのトップでも宣言しているように、被告の医師を私は支持しています。逮捕自体が信じられないような暴挙なのですが、明日、判決が下ります。よもや有罪にはならないと思いますが、民事ではトンデモ判決が珍しくない昨今の状況を考えると、安閑とはしていられません。リンク先にもありますが、こんな事件でした。

 2004年12月17日、大野病院で帝王切開術が行われた。前置胎盤の妊婦だったので、慎重に胎盤部分を避けて手術をして、胎児は無事に生まれた。ところが胎盤がはがれない。術前に診断することは困難だが、極めて珍しい癒着胎盤だったのだ。胎盤がはがれないと子宮が収縮せず、大量に出血する。何とか胎盤を剥離し、子宮も摘出したが、それでも大量の出血があり、輸血もしたが、結局患者は亡くなった。

 癒着胎盤に伴う大量出血という事例であり、残念ながら力及ばず亡くなりはしたが、医療ミスではなく、あくまで病死である。当然、警察への異常死の届け出ではしなかった。ところが、示談を急いだのかどうか知らないが、県はミスを認めるかのような報告書を作成し、医師も甘んじて処分まで受けた。この辺の事情を福島県立病院産婦人科教授の佐藤氏は、以下のように語る。

 患者の死亡後、県の医療事故調査委員会が設置され、当大学出身者以外も含め、3人の医師による報告書が2005年3月にまとめられた。今回の逮捕・起訴の発端が、この報告書だ。県の意向が反映されたと推測されるが、「○○すればよかった」など、「ミスがあった」と受け取られかねない記載があった。私はこれを見たとき、訂正を求めたが、県からは「こう書かないと賠償金は出ない」との答えだった。裁判に発展するのを嫌ったのか、示談で済ませたいという意向がうかがえた。私は、争うなら争い、法廷の場で真実を明らかにすべきだと訴えたが、受け入れられなかった。さすがにこの時、「逮捕」という言葉は頭になかったが、強く主張していれば、今のような事態にならなかったかもしれないと悔やんでいる。加藤医師は、報告書がまとまった後に、県による行政処分(減給処分)を受けた。

 警察は、この報告書を見て動き出したわけだ。最近、医療事故では患者側から積極的に警察に働きかけるケースもあると聞いているが、私が聞いた範囲では患者側が特段働きかけたわけでもないようだ。警察による捜査のやり方には問題を感じている。例えば、当該患者の子宮組織を大学から持ち出し、改めて病理検査を行っているが、その組織も検査結果もわれわれにフィードバックされないままだ。捜査の過程で鑑定も行っているが、担当したのは実際に癒着胎盤の症例を多く取り扱った経験のある医師ではない。
(会員以外は読めない、日経メディカルの記事より引用)

 こうして事を丸く収めるために、あえて責任を認めるかのような報告書が作成され、それが元で2006年2月18日 、担当医師が逮捕された。公判の模様は周産期医療の崩壊をくい止める会に詳しく載っている。あまりに詳しいので、全国の医師が症例検討会を行うことが出来るほどだ。その結果、多くの医師が被告に罪がないことを確信している。遺族は真実を知りたいと言うだろうが、真実は細かいところまですでに分かっている。(ただし、死因は狭義の失血死ではないと私は踏んでいる)

 明日、8月20日に判決が出る。いてもたってもいられない医師達が、平日にもかかわらず現地に集まる。行けない私は、せめて会場に集まる医師達や被告医師への応援の意思だけは表明したいと思い、このブログを書いている。

 万に一つも有罪判決が出るようなことがあれば、産科を辞めようと思っている産科医は多いだろう。私自身も、リスクを回避するような行動を取らざるを得ないだろう。





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Last updated  2008.08.19 07:55:09
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