今までにもフェンタニルの不正使用は何例かあった。ふらつくくらいで多幸感があるようには思えないが、酒の酔い方も人それぞれなので、やめられない人もいるのだろう。もちろん犯罪行為で、許されることではない。
まあそれでも、フェンタニルなら命まで落とす可能性は少ない。でも、レミフェンタニルは別だ。呼吸抑制や循環抑制が強く、患者に投与するときにも微量注入装置を使って1時間あたり数mlという精密な投与方法を採る。投与中は通常人工呼吸を行う。麻酔科医が自分にレミフェンタニルを投与することがあれば、それは自殺するときだと思っていた。
以下の記事を読む限り、どうも常習者らしい。今までにもレミフェンタニルを使ったことがあるのだろうか。それとも、今まではフェンタニルだけだったのだが、レミフェンタニルも試したくなって、その結果死亡したのだろうか。
手術中に麻薬持ち出し自ら注射、変死の麻酔医書類送検へ
さいたま市見沼区の「東大宮総合病院」(坂本嗣郎院長、317床)で5月に変死した男性麻酔科医(当時42歳)が、死亡直前に医療用麻薬を持ち出して自らに注射していた疑いが強まり、埼玉県警は近く、この医師を被疑者死亡のまま麻薬及び向精神薬取締法違反(治療目的外施用)の疑いで書類送検する。
医師の両腕には多数の注射跡があり、県警は常習的に麻薬を使っていた可能性もあるとみて調べている。
病院によると、医師は5月12日午前、同病院で手術中に行方が分からなくなり、昼過ぎに手術室のトイレで心肺停止状態で発見され、間もなく死亡が確認された。県警の司法解剖の結果、死因は急性循環不全と分かった。
捜査関係者によると、医師の血液からは、当日担当した手術で使った医療用麻薬のフェンタニルとレミフェンタニルが検出された。手術中に一部を持ち出し、腕に注射したとみられる。トイレに落ちていた使用済みの注射器からもレミフェンタニルが検出された。
医師は昨年4月に非常勤として着任。同年9月から週4日勤務の常勤となり、月約30回の手術にかかわっていた。病院には当時3人の麻酔科医がいた。県警は「麻薬の使用と死因との直接的な因果関係は不明」としながらも、麻薬によってショック症状が引き起こされた可能性は否定できないとしている。
病院の説明によると、医療用麻薬は薬剤部が鍵付きの保管庫で管理。麻酔科医は手術の度、使用量や種類を記した処方せんを薬剤部に提出し、薬剤師から受け取る。麻酔後は緊急時に備え、手術に立ち会うか院内に待機。手術後は麻酔科医が使用量などを記録し、余った麻薬は薬剤師が立ち会いの下で廃棄するか、保管庫に戻していた。
病院は「管理体制に問題はなかった」としているが、県警は医師が記録を改ざんし、実際の使用量に自分で使った分を水増しして報告していた可能性もあるとみている。
病院や捜査関係者によると、医師は1991年に医師免許を取得後、東京都内の複数の総合病院に麻酔科医として勤務。昨年10月には埼玉県の「麻薬施用者」の免許を受けていた。
(2008年10月2日14時36分 読売新聞)
状況からは常習者であったことは事実と思われる。そうだとすれば、とても残念だ。不正使用そのものも当然あってはならないことだが、レミフェンタニルで楽しくトリップできると思っている麻酔科医が麻酔業務をしていたことも恐ろしい。今日は記事の稚拙さを指摘する元気もない。
こういうことがあると、また仕事がやりにくくなるんだよなあ。