マイミクさんの日記や
Yosyan先生のブログで、こんにゃくゼリー
だけの危険性が報道されていることを知りました。今朝の朝日新聞では社説にまでなっています。でも、こんにゃくゼリーの窒息死に占める割合はほんのわずかなのに、こうした反応でよいのだろうか、とても疑問に思います。
こんにゃくゼリー―悲劇を重ねないために
2008年10月5日(日)朝日新聞社説
「行ってきます」と玄関を出た息子が、元気な姿で家に帰ってくることはなかった。学童保育所で口にしたこんにゃく入りゼリーをのどに詰まらせ、わずか7歳でこの世を去った。
その無念さと再発防止への思いを、母親が当時の福田首相の前で切々と訴えた。つい先月、東京都内で開かれたシンポジウムでのことだ。
それからひと月もたたないうちに、幼い命がまた失われてしまった。
今度の犠牲者は兵庫県に住む1歳9カ月の男の子だ。凍らせたこんにゃく入りゼリーが原因だった。
小さな容器に入ったこんにゃく入りのゼリーは、歯ごたえがあって根強い人気がある一方で、窒息事故の恐れが以前から指摘されていた。普通のゼリーよりも硬くて弾力性が強く、のみ込む時にのどをふさぎやすい。
90年代に死亡事故が相次いで問題となり、国民生活センターが注意を呼びかけてきた。それでも被害はなくならない。死亡した人は95年以降、わかっているだけで17人になり、病院へ運ばれた人はさらにたくさんいる。とりわけ子どもとお年寄りの犠牲が多い。
なぜ、事故をなくせないのか。
のどに詰まらせやすい子どもとお年寄りに対し、業界団体は「たべないで」と注意する統一マークを決めて商品につけ始めた。だが、危険があることが消費者に十分伝わっているとは言いがたい。見た目は普通のゼリーと区別しにくいため、つい食べさせてしまった保護者もいるだろう。
政府も抜本的な対策をとってこなかった。ゼリーの形や硬さを規制する法的な枠組みがないからだ。
このままではまた事故が起こりかねない。ここは消費者もメーカーも政府も、それぞれの立場で被害を防ぐ努力をすべきだ。
消費者は何よりも、こんにゃくゼリーで命を落とす場合があることを知っておかねばならない。小さな子やお年寄りが絶対に食べないように、親や周りの人が目配りする必要がある。
事故を受けて、野田消費者行政担当相がゼリーをつくった企業の幹部を呼び、「小さな警告マークのみの商品は自主回収してはどうか」と促した。さすがに手をこまぬいているわけにはいかなかったのだろうが、もう一歩対策を進められないものか。
窒息の引き金となる食品は、餅をはじめ、ほかにもたくさんある。だが、こんにゃく入りゼリーはEU(欧州連合)や韓国では販売が禁じられた商品である。そうしたことも念頭に、対策作りに知恵を絞ってもらいたい。
メーカーは包装袋の警告文を増やし、大きな表示もするという。それは当然だが、のどに詰まりにくい安全な商品をつくる工夫を改めて求めたい。それは企業の社会的な責任である。
今回私が驚いたのは、以前からあれだけ騒がれているのに、こんにゃくゼリーによる窒息死が年間一人強だと言うことでした。
内閣府食品安全委員会に依れば、以下に示すように、年間4千人が食物による窒息で亡くなっています。
食べ物による窒息事故を防ぐために
平成20 年5 月2 日作成
平成20 年5 月8 日更新
内閣府食品安全委員会
1 乳幼児、高齢者などでは食べ物による窒息がおきやすい乳幼児、高齢者などでは、食べ物による窒息がおきやすいため、その予防や応急手当について知っておくことが必要です。
気道が3~6 分間閉塞されると死亡することもあります。乳幼児で窒息が起こりやすいのは、臼歯がなく食べ物を噛んですりつぶすことができない、また、食べるときに遊んだり泣いたりするなどのためです。また、高齢者では摂食・嚥下(食べ物を口から食道を経て胃に送る)機能が低下しているため、ご飯やパンなど粘りのある食べ物など咀嚼(噛み砕くこと)しにくく大きな塊のまま喉に入って窒息に至ることもあります。
乳幼児で窒息を起こす原因になった食べ物としては、ナッツ類、丸いあめ、ブドウ、プチトマト、もち、ちくわ、たくあん、こんにゃく入りゼリー、生のにんじん、棒状のセロリ、リンゴ、ソーセージ、肉片、こんにゃく、ポップコーン、おせんべいなどが報告されています。厚生労働省の統計によれば、食べ物による窒息の死亡者数は、最近では毎年4 千名を超えています。
(窒息でなくても、食物の誤嚥が引き金になった死亡を含むようです)
このような状況で、年間二人にも満たない死因に対するネガティブキャンペーンをするより、リスクを見抜き、未然に事故を防ぐよう啓蒙することの方が大切なのではないでしょうか。内閣府食品安全委員会は以下のような注意点を挙げています。社説を書くのであれば、この程度のことは書くべきだと思います。
また、乳幼児などでは、特に以下に注意しましょう。
* 誤って気管支に入りやすいピーナッツなどの豆類は3歳になるまでは食べさせない。
*急停車する可能性のある車や揺れる飛行機の中では食べさせない。
*あおむけに寝た状態や、歩きながら、遊びながら、ものを食べさせない。
*食べ物を口に入れたままの会話、テレビを見ながらの食事はさせない。
*小さな食べ物を放りあげて口で受けるような食べ方をさせない。
*食事中に乳幼児をびっくりさせるようなことはしない。
*乳幼児に食べることを無理強いしない。
*年長の子どもが乳幼児に危険な食べ物を与えることがあるので注意する。
*嚥下障害をもつ障害児では食べ物による窒息がおこりやすく、十分な注意が必要である。
事は食品だけに限りません。
柵がなければ崖や池に落ちてしまうように育つより、崖や池の危険性を認識できるように育った方が良いと思いませんか。