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医療報道を斬る

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2008.11.24
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カテゴリ:医療
 所謂「割り箸事件」の控訴審判決が下りました。一審では、過失はあったが、助かる可能性が無かったと言うことで無罪でした。

「割りばし死」2審も無罪、「過失なし」…東京高裁
記事:読売新聞 2008年11月21日


 東京都三鷹市の杏林大学付属病院で1999年、保育園児杉野隼三ちゃん(当時4歳)ののどに割りばしが突き刺さっているのを見落として必要な診療を行わず死亡させたとして、業務上過失致死罪に問われた元同病院医師・根本英樹被告(40)の控訴審判決が20日、東京高裁であった。

 阿部文洋裁判長は「被告の医療措置に過失はなく、救命も困難だった」と述べ、無罪とした1審・東京地裁判決を支持、検察側の控訴を棄却した。医療事故の刑事責任追及に対し、厳しい司法判断となった。〈関連記事3面〉

 根本被告は99年7月10日、耳鼻咽喉科の救急当直医として、綿あめの割りばしをくわえたまま転倒し搬送された隼三ちゃんを診察した際、必要な検査を行わず、傷口に消毒薬を塗るなどしただけで帰宅させ、翌朝、隼三ちゃんを頭蓋内損傷で死亡させた、として起訴された。死亡後の解剖で約7・6センチの割りばし片が脳に刺さっているのが見つかった。

 06年3月の1審判決は、診断ミスがあったことは認めたが、治療しても延命の可能性が低かったとして無罪を言い渡したため、検察側が控訴していた。

 この日の判決は事故について、特異な例で当時は診療指針が確立していなかったとしたうえ、隼三ちゃんの意識障害も強くはなかったことなどから、「割りばしによる頭蓋内損傷を疑って問診をしたり、コンピューター断層撮影法(CT)検査などを行ったりする注意義務はなかった」と、被告の過失を否定した。

 また、救命の可能性についても、仮にCT検査を行ったとしても、割りばし自体を見つけることはできなかったなどとして、「延命も確実に可能だったとはいえない」と結論づけた。

 父「受け入れられぬ」

 隼三ちゃんの父正雄さん(57)と母文栄さん(51)は判決後、東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見した。正雄さんは「医師に過失がないというのは到底受け入れられない」と語り、文栄さんも「判決の結果は残念だが、隼三の死が無駄にならないよう病院や医師が努力して下されば」とうつむいた。

 判決が隼三ちゃんの死を「特異な例で医師が想定するのは極めて困難」と認定したことに対し、正雄さんは「私たちは高度な医学処置を望んだわけではなく、もっと問診をしてほしかっただけ。このままでは同じことが繰り返される」と訴えた。

 一方、根本英樹医師は東京高裁の法廷に紺色のスーツ姿で出廷。阿部裁判長が主文を言い渡すと、軽く一礼し、判決理由の読み上げの間は、うつむいたままだった。弁護人は判決後、「痛々しい死に対して、深い哀悼の意を表したいと思います。長い苦しい時間だったが、今日の判決でその苦労も報われた思いです」とする根本医師のコメントを発表した。



 医学は失敗に学ぶことで発展してきました。実際にはあり得ないような理想的な医療を目指し、常に反省して改善してきたのです。だから、症例検討会などでは、些細な失敗も厳しく糾弾されます。でも、だからといって、刑事責任や民事賠償責任があるというわけではありません。

 この事例は、極めて特殊な事例です。通常であれば硬い骨に阻まれて折れるだけの割り箸が、ピンポイントで狙ったかのように頭蓋骨の静脈の通る穴をすり抜けたのです。脳そのものを刺したわけではなかったので、神経症状もはっきりしませんでした。後からなら、もう少し注意していれば異常に気がついたのではないかと言うことも出来るでしょうが、そう考えること自体が後出しジャンケンです。高裁の判決が冷静なものであったことを評価したいと思います。

 同じ事を繰り返さないためには、脳に割り箸を突き刺した患児を助けられなかった医師を罰することより、脳に割り箸を突き刺すような状況を避けることの方が有効です。隼三ちゃんのご両親には、是非考えを改めていただきたいと思います。





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Last updated  2008.11.24 10:21:14
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