医療の崩壊が誰の目にも明らかになってきています。でも、それを報道するメディアは崩壊を防ぐ気はなさそうです。その証拠に、未だに「受け入れ拒否」という言葉を使っています。
医師が「たらい回し」や「受け入れ拒否」と言う言葉を嫌っていると言うことくらい、メディアは把握していると思います。十分な診療の出来る体制でないときには受け入れたくても受け入れることは出来ません。それでも、受け入れ不能とは書きません。あたかも病院の悪意で受け入れないかのような表現に固執します。以前は無知によるものだと思っていましたが、さすがに今では意図的なものだと感じています。理由までは分かりませんが、この国のメディアは、医療を崩壊させようとしているのでしょう。
時々おじゃましている
S.Y.’s Blogさんからの孫引きですが、面白い例えがありましたので紹介します。
595 :卵の名無しさん [↓] :2008/12/02(火) 23:56:29 ID:7c8MHkj+0
10リットルまでの水しか入らないバケツには、11リットルの水は入りきれません。
1リットルの水がこぼれてしまった事で、周囲の人間が「なんだこのクソバケツ!」と足蹴にしたら、バケツが凹んで、10リットル入れられたはずの物が、9リットルまでしか入らなくなりました。
…っていうのが、今の日本の医療崩壊(ていうか、マスコミによる医療破壊)の現状。
教訓とかそういう以前の問題。
ここで教訓というのは、次の朝日の記事のことだと思います。私も読んで違和感を持ちました。
札幌未熟児死亡 2病院はNICU持たず、5病院は満床
札幌市の女性が自宅で早産した未熟児が昨年11月、病院に相次いで受け入れを断られ、8カ所目となる搬送先の病院で数日後に死亡した問題で、7病院は、未熟児の治療に必要な新生児集中治療室(NICU)が満床だったり、備わっていなかったりしていたことが分かった。当時、「たらい回し」の末の妊婦や胎児の死が問題化していた。なぜ、教訓は生かされなかったのか。
未熟児の受け入れを断った病院のうち、NICU病床を持つのは5病院(計42床)。
高度医療の中核である総合周産期母子医療センターに指定されている市立札幌病院(NICU9床)は「当日夜は満床のうえ、当直医師も別の新生児の治療中で引き受けられなかった」と説明。翌日になってNICUに空きができ、搬送先となった手稲渓仁会病院に転院を打診したが、「動かせる状態になかった」という。
札幌市内で最多の12床を備える天使病院は「当時の記録は残っていないが、満床で断ったと思う」、札幌医大病院は「満床だったので断った可能性が強い」と話した。北大病院は当日、院内感染対策でNICUを消毒中で、「受け入れ不能の状態だったはず」という。
消防と病院の意思疎通の不足を思わせる事態もあった。
7カ所目の要請先だった道立子ども総合医療・療育センターは、NICUは満床だったが「調整をしてみるので、後で連絡したい」と回答。だが市消防局は「それなら渓仁会に連絡する」とだけ答え電話を切ったという。同センターは「断ったという意識はない。最大限の努力はするつもりだった」と困惑する。
NICUを持たない2病院も要請を受けた。
札幌徳洲会病院は「この症状では当院での治療は無理という判断が当然。設備のある病院で手だてを作ってもらわなければ困る」と説明。KKR札幌医療センターも「毎晩産科医がいるわけではないし、そもそも急患は妊娠34週以降に限っている」と要請自体を疑問視する。
市消防局は、これら7病院への搬送要請について「次々と断られたので範囲を広げるしかなかった」と説明している。