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医療報道を斬る

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2008.12.26
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カテゴリ:医療
 最近は報道で多少の不満を感じてはいても、頭に血が上るようなことは少なくなったと感じていた。少しは医療に対する認識が改まったのかも知れないと思っていた。でも、そんなことはなさそうだ。続々と腹の立つ報道はある。後出しジャンケンは健在だ。

佐賀県、1000万円で和解 腎臓誤摘出損賠訴訟
記事:毎日新聞社【2008年12月25日】


 県立病院好生館で手術を受けた際、誤って腎臓を摘出されたとして、佐賀市の女性が県に約2300万円を求めていた損害賠償請求訴訟は24日、佐賀地裁(神山隆一裁判長)で和解が成立した。県が女性に和解金1000万円を支払う。

 和解案では「事前に十分な検査をし、十分な説明を行った上で治療法を決定すべきだった」と好生館のミスを指摘したうえで「原告に説明していれば腎臓の全摘出の同意をしたとは考えられず、全摘出したことは過失が認められる」とした。

 訴状によると、女性は01年7月、悪性腫瘍(しゅよう)があるとして好生館で右の腎臓の全摘出手術を受けたが、術後、手術ミスを知り、精神的にショックを受けた。

 女性は和解後、「医療に携わる人は高い技術や技能、モラルを持って働いてほしい」と話した。【高芝菜穂子】


 術前に全例良性か悪性かの判断が付くのならミスと言われても仕方がないが、そんなことは不可能である。悪性の疑いがあれば手術するだろう。実際にどのような説明がなされたのか知らないが、悪性の可能性が高いが良性のこともあり得ると説明の上で手術を見合わせた場合、実際に悪性であれば、説得すべきだったと言われるのだろう。(前回の日記参照)

 そもそも手術すべきだったかどうかの話なのに、手術ミスというのはどうなのだろう。手術そのものの失敗ではないだろうに。

女児死亡で3月高裁判決 1審無罪の手術担当医
記事:共同通信社【2008年12月25日】

 東京女子医大病院で2001年、心臓手術中に人工心肺装置の操作を誤り、群馬県高崎市の小学6年の女児=当時(12)=を死亡させたとして、業務上過失致死罪に問われ、1審で無罪となった医師佐藤一樹(さとう・かずき)被告(45)の控訴審公判が24日、東京高裁(中山隆夫(なかやま・たかお)裁判長)で結審した。判決は来年3月27日。

 死亡につながったとされる人工心肺装置のフィルターの目詰まりについて、弁護側は「当時の医学水準として、フィルターが水滴などで詰まる可能性を予見できなかった」とし、あらためて無罪を主張した。

 検察側は「十分な配慮をして操作していれば事故を避けられた」と、1審判決の破棄を求めている。

 05年の1審東京地裁判決は、フィルターの目詰まりから血液の循環が悪化、女児が重い脳障害となり、死亡したと認めた上で「危険性を予見できなかった」と判断。被告の過失を否定した。

 佐藤被告は01年3月、人工心肺装置を不適切に操作し、脳障害で死亡させたとして02年6月に逮捕され、翌月起訴された。


 この事例は今までにも取り上げたことがあり、今さらという気もするが、明らかに不当な起訴なので、また取り上げる。被告の佐藤先生は、たまたま問題のあるポンプを操作させられただけで、佐藤先生自体に問題があったわけではない。このことは科学的には検証済みだ。さっさと無罪判決を下して、検察の横暴を糾弾すべきと思う。当然のことながら、佐藤先生は手術担当医ではない。手術担当医と言えば、普通は執刀医のことで、拡大解釈しても助手までだろう。この見出しは何なのだろう。

JA関連病院に賠償命令 1億2千万、広島地裁
記事:共同通信社【2008年12月25日】

 医師が適切な処置を怠ったため車いす生活を余儀なくされたとして、広島県尾道市の女性(57)がJA尾道総合病院の経営母体に約1億6000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、広島地裁は24日、約1億2000万円の支払いを命じた。

 判決理由で野々上友之(ののうえ・ともゆき)裁判長は「初めに診た内科医がすぐ整形外科医に診察依頼するなどしていれば、症状が悪化する前に適切な治療を受けられ、後遺症が現れなかったのは確実」と指摘した。

 判決によると、女性は2001年8月23日、背中の痛みを訴え受診。髄膜付近が炎症を起こし、うみがたまる病気と診断され9月4日に手術を受けたが、下半身にまひが残り、自力歩行できなくなった。


 背中の痛みを訴える患者は沢山いる。内科的疾患でも、その様な患者は多い。整形外科的な疾患とは限らないのだ。初診から手術まで2週間とかかっていないのに、それで遅いと言われても困る。初めから診断がついていれば、確かに急がなければならない事例だが、それは結果が分かっているから言えることなのだ。更に言えば、急いだからと言って、必ず後遺症が残らなかったという保証はない。

 本当のジャンケンであれば、後出しがおかしいことは誰にでも分かる。でも、現実の事例では、様々なバイアスの影響を受けやすい。科学論文を書く際には、最も重要なのはバイアスの排除である。裁判官や報道陣も、後出しジャンケンのようなバイアスを防ぐような訓練を受けている必要があるのではないだろうか。

 それにしても、治療さえ受ければ最善の結果を得ることが確実だという誤解は、どうにかならないのかなあ。





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Last updated  2008.12.26 10:58:35
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