昨日、今年初めての緊急手術がありました。結構リスクの高い症例でしたが、無事、手術が終わったあとの会話で、2例の急患を断ったことを知りました。昔ならみんな受けたのにねえと言うと、若い看護師たちがびっくりしていました。
昔は複数の緊急手術があると、当番以外の看護師を手術部師長が探し、当番以外の医師を当該科の科長が探し、麻酔は掛け持ち麻酔で対処したものでした。時にはほろ酔いのスタッフもいたりして、手術を受ける患者にとっても万全の体制とは言えませんが、それぞれが何らかのコストとリスクを引き受けて回していたのです。救急医療では、そのようなコンセンサスが出来ているとの幻想がありました。
今ではそんなことは出来ません。緊急手術では回復せずに死亡する症例も多く、後から万全の手術が行われたか検証されれば、無理をしていれば袋だたきです。民事はもちろん、刑事訴追まで覚悟しなければなりません。
患者も、他の患者のためにリスクを引き受ける覚悟があれば、私自身は複数の患者を引き受けてもいいのですけどね。もちろん故意や重大な過失以外は刑事・民事とも免責が条件ですけど。掛け持ち麻酔そのものが重大な過失だと言われれば、どうしようもありませんが。
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