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カテゴリ:医療
腎臓の機能が障害されて尿が生成できないようになると、血液透析が必要になります。リンク先にもありますが、通常は内シャントを作成して透析を行います。でも、内シャントというのは、良く潰れるのです。特に糖尿病による腎不全患者の場合、血管にも障害がありますので、何度作り直しても潰れてしまって困ることがあります。
急に透析が必要になっても、内シャントは作成してからすぐには使えません。そのため、最初は太い静脈にバスキャスと呼ばれる管を差し込んで透析を行います。最初だけなのは、留置したままだと感染を起こしやすいからです。それでもバスキャスを継続的に使っていたのだとすれば、それなりの事情があったはずです。 血液透析中に女性患者死亡 琉球大病院で1月下旬 記事だけからでは推測でしかありませんが、何らかの事情で内シャントを使用できず、右内頚静脈からのバスキャスで透析を維持していたと思われます。バスキャスの長期使用は感染を起こしやすく、この症例でも感染を起こして、抜去せざるを得なかったのでしょう。 バスキャスの長期使用に感染の危険性があるとしても、透析をしなければ死亡しますので、危険を冒しても使用していたのでしょう。そして、実は、バスキャスを挿入するにも危険はあるのです。静脈は動脈と比べれば極めて薄い壁で出来ていますが、個人差で、特に血管壁のもろい患者も居ます。特に、内シャントがすぐに潰れるような患者では、血管自体がもろい可能性は高いでしょう。その様な患者では、バスキャスを挿入する際に、血管を傷つける確率は高くなります。 血管が傷ついた状態で透析をすれば、透析中は血液が固まりにくい状態にしますので、大出血が起きる可能性があります。それを恐れてCTでの検査をしたのでしょう。繰り返しますが、透析をしなければ患者は死にます。検査で大丈夫そうだと思えば、透析をしないわけには行かないでしょう。 確実な死を避けるため、ある程度のリスクを受忍することは合理的です。そのリスクが現実のものとなったとき、当事者がバッシングされるようでは医療は成り立たないでしょう。この事例は、放置すれば死を免れない患者に対しハイリスクな処置をしたところ、不幸にも亡くなったものと思われます。むやみに当事者の責任を問うことの無きよう、冷静な判断が下されることを祈ります。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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