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医療報道を斬る

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2009.02.23
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カテゴリ:医療
 昔何かで読んだことはあって一度は覚えた病気でも、その後全くお目にかからない病気のことは忘れてしまうものです。かえって国試が終わったばかりの研修医の方が知っている病気もあります。

 私もPeutz-Jeghers(ポイツ-イェガース)症候群を知ったのはつい最近のことで、腸重積の手術の麻酔を担当した時のことです。医師になって30年を優に超える経験がありますが、それまで見たこともありませんでした。

「腸重積症」誤診で12歳死亡 両親が佐賀市を提訴

2009年2月23日 提供:読売新聞

 腸の中に腸が潜り込む「腸重積症」が原因で次男(当時12歳)が亡くなったのは、佐賀市休日夜間こども診療所などが誤診したためとして、同市内の夫婦が市など3者を相手取り、約7600万円の損害賠償を求める訴訟を佐賀地裁に起こした。

 ほかに訴えられたのは、小城市の医療法人「ロコメディカル」と佐賀市の社会福祉法人「佐賀整肢学園」。

 訴状によると、次男は2006年3月25日から翌26日にかけ、腹痛や下痢を訴えて市休日夜間こども診療所など三つの医療機関を受診。嘔吐下痢症と診断されるなどし、27日未明に症状が悪化、同日死亡した。解剖の結果、腸重積症による腸管こうそくと分かった。

 次男は腸重積症になりやすいとされるポイツ・イェーガー症候群という遺伝性疾患があり、こども診療所の医師は母親に、この疾患があることを確認していた。口唇の色素沈着斑(はん)などから同症候群と疑うことができたとして、「超音波検査で腸重積の発症を確認すべきだった」などと主張している。

 佐賀市健康づくり課は「訴状を読んで今後のことを検討したい」としている。
 
 この記事では病名は分かりますが、医療機関を受診した時系列が分かりません。

手術受けられず、男児死亡 佐賀市に損賠求める

2009年2月23日 提供:毎日新聞社

 小腸などにポリープが多くできる病気を患う男児(当時12歳)が、腹痛で佐賀市休日夜間こども診療所など3医療機関を受診した際、手術を受けられず死亡したのは医師が注意義務を果たさなかったからだなどとして、男児の両親が市と医療法人ロコメディカル、社会福祉法人佐賀整肢学園の3者を相手取り、約7600万円を求める損害賠償請求訴訟を佐賀地裁に起こした。

 訴状によると、男児は06年3月25日夜、腹痛やおう吐を訴え、こども診療所でおう吐下痢症と診断された。

 26日朝にロコメディカルが開設した病院を受診したが症状が収まらず、同夜、こども診療所で治療後、整肢学園に入院した。

 男児はその約2時間後、血圧低下で佐賀大病院に搬送され、27日早朝、腸重積症による腸管こうそくで死亡した。

 原告側は「腸重積症を疑い、緊急手術が可能な病院に搬送すべきだった」としている。

 提訴について佐賀市は「争うか検討中」。残る2者は「理事長不在で答えられない」「コメントを差し控える」などとしている。【高芝菜穂子】

 こちらの記事では受診の時系列はある程度分かるものの、肝心の原疾患名が分かりません。症状も、読売では腹痛と下痢、毎日では腹痛と嘔吐となっています。症状は診断のためには大変重要な情報ですから、正しい診断が可能であったかどうかを判断するためには正確に報道して欲しいものですが、新聞によって異なるのでは判断のしようもありません。

 まあ、3か所で腸重積との診断が付かなかったと言うことは、それを疑わせるような症状がなかったと言うことではないかと思われます。名医なら正しい判断をしたかも知れませんが、そこら辺の並の医師では無理だったと言うことなら、損害賠償は認めるべきではないでしょう。名医以外は診療をしてはいけないのなら、医療が成り立たないからです。

 ちなみに、Peutz-Jeghers 症候群とはこんな病気。

Peutz-Jeghers(ポイツ-イェガース)症候群

【概念】
 皮膚粘膜の色素沈着と消化管ポリポーシスを合併する常染色体性優性遺伝性疾患である.発生頻度は出生10万人に1人で,わが国では1990年までに172家系182人が登録されている.原因遺伝子の一つとして,19番染色体のLKB1遺伝子の異常が確認されている.
【病理・病態生理】
 ポリープは食道を除く全消化管に認められ,大腸腺腫症に比較すると大小不同で散在性に分布する.なかには,5cmを超える有茎性のものもあり,しばしば腸重積の原因となりうる.ポリープの組織像は過誤腫であるが,その一部に腺腫部分が混在することがあり,消化管癌の合併例も20~25%に認められている.また消化管以外でも卵巣,肺,子宮など他臓器の悪性腫瘍による死亡例も多く,癌の高危険度群として取り扱う必要がある.
【臨床所見】
 口唇,口腔粘膜,四肢末端部に米粒大の黒褐色の色素斑が左右対称性に多発する(図6-118) [図] .消化器症状として,イレウス症状,腹痛,血便,ポリープの肛門脱出などが認められる.合併症として,本症の約半数に腸重積が認められるが,その大部分は小腸に発生する.
【検査所見・診断】
 全消化管のX線および内視鏡検査を行い,生検にて過誤腫であることを証明する.また他臓器癌の有無についても検索する.
【治療】
 治療はできるだけ保存的に行うべきであり,内視鏡的ポリペクトミーの適応となる.しかし,腸重積と診断されれば直ちに手術の適応となる.

今日の診療プレミアムVol.17 (C)2007 IGAKU-SHOIN





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Last updated  2009.02.23 23:07:21
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