1日に6000回と言えば、1時間に250回。およそ15秒に1回と言うことになります。それだけの頻度で警報が鳴り、実際にはほとんどが誤報だとすれば、そんな機械に何の意味があるのでしょうか。警報のたびに確認する事なんて、出来るはずがありません。
責任を問うとしたら、機械のメーカーじゃないのでしょうか。
医療アラーム「急変」聞き逃し事故多発
2009年3月19日 提供:読売新聞
2000年以降、救命遅れ死亡30件
入院患者の容体急変を知らせる医療アラームを病院側が聞き逃し、その後に患者が死亡したケースが2000年以降、少なくとも30件に上ることが、日本看護協会(久常節子会長)の調査でわかった。
警告が出る設定などに問題があり、異常がないのに鳴る「無駄鳴り」が頻繁に起き、警告の聞き逃しにつながっているとして、協会は月内にも対策をまとめ、国に提言する。
調査は、アラーム聞き逃しが医療事故や訴訟などとなった病院から聞き取りしたり、報告書を入手するなどして行った。患者死亡の30件は、急変を見逃して救命が遅れたといずれも病院が認めているものだが、死亡との因果関係は判断していない。
横浜市立脳血管医療センターでは07年7月、50歳代の男性患者の不整脈をアラームが知らせたが、看護師3人が約30分間、気づかなかった。男性は心肺停止となっており、9日後に死亡した。同じ病棟では患者8人がアラームをつけ、1日6000回警告音が鳴っていた。
群馬県の公立病院では06年3月、70歳代の男性患者の心停止を知らせる警告音に対応が28分遅れ、約5時間20分後に死亡した。看護師3人が「無駄鳴り」と思い込んでいた。病棟では患者30人のアラームが絶えず鳴っている状況だった。
アラームは人手不足の医療現場で、患者の急変を知るために広く使われている。患者に1日着けると原則1500円の診療報酬が出る。調査を担当した永池京子常任理事は、「装着の必要性や異常を知らせる設定値をよく考えないまま着けておくという医師も多い。このため『無駄鳴り』が増え、看護師が鈍感になり、本当の警告音を聞き逃すことにつながっている」と指摘している。
協会では、「アラームの聞き逃しが看護師の不注意や怠慢のように言われてきた。調査結果は氷山の一角で国を挙げた取り組みが必要」と対策を提言する。提言は、〈1〉医療機器取り扱いの専門職である臨床工学技士(ME)の増員〈2〉医療の質を重視した診療報酬への見直し〈3〉看護師の医療機器に関する教育〈4〉聞き逃し事故の情報を共有するシステムの構築--を提言する。
厚生労働省は「協会の検討結果を受け、対応を考えたい」としている。
医療アラーム 患者の体に着けた携帯型発信器となっている検知器で心拍数や血中酸素濃度などを監視し、異常値が出るとナースステーションのモニターの警告音が鳴るシステム。1980年代から普及し、20病床以上の全国約7800病院のほとんどに置かれている。