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医療報道を斬る

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2009.05.18
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カテゴリ:医療
 医師の書くブログであっても、何時でも医療側の味方をするつもりはありません。本当に医師に許されない過失があったのであれば、批判することにためらいはありません。問題は、報道からだけでは許されない過失なのかどうか分からないことです。

延岡病院で死亡の遺族、宮崎県に3630万円求め提訴「医療措置怠った」

2009年5月16日 提供:毎日新聞社

提訴:延岡病院で死亡の遺族、県に3630万円求め「医療措置怠った」 /宮崎


 県立延岡病院に入院していた日之影町の男性(当時53歳)が、小腸を断裂して死亡したのは、病院が必要な医療措置を怠ったのが原因として、男性の妻と息子3人が県を相手取り慰謝料など3630万円を求め、宮崎地裁に提訴していたことが15日、分かった。提訴は4月16日付け。

 訴状によると、男性は木材販売会社に勤務していた02年10月8日、日之影町内の山林で作業中に機械のワイヤにはじき飛ばされて、腹部などを強打する重症を負った。町内の病院に搬送されたが「腹部を強く打っているので、きちんとみてほしい」と延岡病院に転送。しかし、病院は小腸の断裂に気付かず、両腕骨折の治療をした。

 男性は腹部の痛みを訴え続けたが、当時の外科部長は「おなかの手術は必要ない」と判断。しかし、2日後の同10日、血液検査で異常が見つかり、緊急手術をしたところ、小腸の4カ所が断裂していることが分かった。男性は29日、肝不全などで死亡した。

 原告は「なすべき医療措置を怠り、腹部損傷の発見が遅れたため、死亡させるに至った。当時53歳の一家の柱で、筆舌に尽くしがたい精神的苦痛を受けた」としている。

 県病院局は「訴状内容を吟味して、病院にこれまでの経緯や医学的見解をきいて調査する」としている。07年に遺族が同局に説明を求める質問状を提出しており、「遺族との過去のやり取りもふまえて、事実を抑えた上できちんと対応したい」とコメントした。【川上珠実】


 記事のすべてを疑っていたのではきりがありませんから、以下のことは事実と仮定します。

1)「腹部を強く打っているので、きちんとみてほしい」と延岡病院に転送
2)男性は腹部の痛みを訴え続けたが、当時の外科部長は「おなかの手術は必要ない」と判断
3)小腸の4カ所が断裂

 1)にもかかわらず、まともに腹部の診察をしなかったのであれば論外ですが、さすがにそんなことはないでしょう。触診をして、腹部X線単純写真くらいは撮ったのでしょう。おそらくは腹壁は固くはなく、筋性防御が認められない状態で、X線写真でも遊離ガス像が認められなかったのだと思います。場合によっては、CTを撮っても診断が付かなかったのかも知れません。「遊離ガスを認めない消化管穿孔症例の検討」 という特集が消化器外科学会で組まれるくらいですから、そう珍しいことではないのでしょう。

 リンク先の右側の「プレビュー」というところをクリックすると、抄録が読めます。199番には、シートベルトによる腸管破裂7例の全例に遊離ガスが見られなかったと記されています。上記の学会は、記事の事例の起きた年の2月に開かれています。このような特集が組まれたのは、見逃される腸管損傷が多かったからでしょう

 この記事の事例が避けられた誤診なのかどうかは分かりません。診断が困難な消化管損傷があることは事実でしょうし、自分の診断を常に疑い続けることで、最終的に誤診を免れることがあるのも事実です。担当した医師が聞く耳を持たずに最初の診断に固執したのであれば、私の印象もクロですが、何度も検討したけれども腹部外傷の所見がなかったのであれば、私としてはシロと言いたいと思います。





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Last updated  2009.05.18 23:43:08
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