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カテゴリ:医療
生兵法は怪我の元と言いますが、医療でもまさしくそうです。最初の頃はおっかなびっくりで、効率は悪いものの、慎重に何事も行います。ある程度慣れ、あまり恐ろしい目にも遭わなかった場合が一番危ないのです。ほんの少し確認すれば何でもなかったことでも、慣れのために惰性で事を行うと、時に大きな落とし穴が待ち受けています。
人間はミスをするもので、単純で愚かなミスであろうと、しない人はいません。単に大きな被害が出ることが希なだけです。でも、時には人命に関わることもあります。だからこそ、間違いの起こりにくい、あるいは間違いが起こっても重大な被害を及ぼさないようなシステムが必要なのです。 静脈に空気誤注入 2歳男児低酸素症に 福島県立医大病院 他の報道では、この麻酔科医の麻酔経験は10ヶ月とのことでした。10ヶ月の経験というと、自分だけで麻酔を担当する自信はないが、いざというときのバックアップ体制があれば、かなりの部分まで自分で出来そうな気がする頃でしょう。大きな事にならないような「ヒヤリハット」を経験していれば、このようなことは起きなかったのかも知れません。 でも、一番の問題は、間違いを許すシステムです。胃管用と点滴用の三方活栓の区別が無く、ごちゃごちゃとした状況で手探りでの操作を強いていたのは問題です。胃管には注射器が接続できないようにしておけば、間違えようがありません。また、点滴回路や胃管を整然と並べておくだけでも間違いは起こりにくかったでしょう。 記事が正確だとすれば、この事例では賠償責任は免れないでしょう。でも、この麻酔科医個人の刑事責任を問うて欲しくありません。結果は重大ですが、誰でも時には愚かなミスをするものです。フェイルセーフ機構を怠り、コスト重視で現場のがんばりだけに頼ってきたツケが回ってきたのですから。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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