多くの大学病院で、大学院生が無給で働いています。無給どころか授業料を払っているのです。授業料を納めながら労働をすることが博士になるための不文律なのです。雇用関係ではないのですから、医療紛争や労災の時に問題になるだろうといつも心配していました。
実際に事故が起きれば、大学側が素直に責任を認めるわけもなく、結局は裁判にゆだねられます。それでも、形式論ではなく、実情を見据えた判決が出てホッとしました。
医大院生は勤務医と同じ 「過労で交通死」鳥取大に賠償命令
2009/10/16 13:57更新 イザ!
鳥取大医学部の大学院生で医師だった男性=当時(33)=が付属病院で徹夜勤務をした直後に交通事故死したのは、睡眠不足や過労を生じさせた大学側の責任だとして、両親が鳥取大に損害賠償を求めた訴訟の判決で鳥取地裁は16日、約2千万円の支払いを命じた。
朝日貴浩裁判長は判決理由で「大学院生の業務内容は勤務医と大きく変わらず、業務の性質は精神的負荷が高いものだ」と認定。「大学側には(過酷な勤務で)事故発生が十分予測可能だった」と安全配慮義務違反を認めた。
研修などの名目で無給のまま医療業務に従事している院生の医師について、「雇用」する側の大学に安全配慮義務があることを認める司法判断。医大院生の過酷な勤務実態は国会などでも問題化しており、各地の大学で進む雇用契約締結の動きにも影響しそうだ。
研修医については平成17年の最高裁判決が、労働基準法上の「労働者」に当たるとの初判断を示したが、原告側代理人によると、院生の労働者性を認めた判例はないという。