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カテゴリ:医療
川崎協同病院の「延命治療中止」の有罪が確定しました。何で括弧付きかというと、私は延命中止ではなく、やはり殺人だと思っていたから。その根拠は筋弛緩剤の使用。元気な人を殺す毒薬を使うのは治療の中止などではなく、積極的な殺人だという判断です。でも、これは表面的な見方でした。
延命治療中止、有罪確定へ 医師の免責、要件示さず 最高裁が上告棄却 川崎協同病院事件 【1】 これだけ読むと、抜管して苦しんでいるかのような体動が見られたので筋弛緩剤を使ったようですが、判決文 (pdf)を読むと、事はそう単純ではなさそうです。 家族からの強い要請で抜管したら、そのまま無呼吸ですぐに亡くなると思いきや、苦しみだしたので複数の鎮静薬を投与、でも、無効だった。他の医師に相談したら筋弛緩剤を使うよう示唆された。そこで筋弛緩剤を使用した。これが事実認定の内容のようです。たぶんここはその通りなのでしょう。一方で、脳波無しには予後の判定は不能であるかのような判断がありますが、これは法的脳死判定との混同じゃないでしょうか。 筋弛緩剤の使用は、言わばとどめを刺す行為ですから、(現状では)法的に許されないことに異存はありません。でも、家族や相談に乗った医師には何のお咎めもなく、何故ひとりの医師だけが訴追を受けるのでしょうか。主治医に罪を問うのなら、他の関係者にも何らかの罪を問うのが筋だと思います。(そうしろと言っているわけではありません) 判決では抜管自体にも違法性を認めています。限りある医療資源を有効利用するためには、死が免れない状況で、単なる延命のために濃厚治療をすることは避けるべきです。でも、刑事罰の恐れがあるのであれば、濃厚治療を続ける他はありません。 やはり立法機関や司法機関がきちんと基準を作り、現場にそれを示すべきです。何の基準も示さず判断を現場に丸投げし、後出しで、事例ごとに判断が変わる裁判で裁かれるようでは、現場は安心して仕事が出来ません。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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