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医療報道を斬る

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2010.05.30
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カテゴリ:医療
 生涯にわたって医療を受け続けなければならない人を経済的に支援することに異存はありません。そのために税金を使うことは、少なくとも私は許容します。けれども医療を悪者にして、賠償として金を捻出するのは勘弁して欲しい。いくら保険で賄えるとは言っても、結局は保険料に跳ね返り、もともと赤字の病院が立ちゆかなくなることは計算すればすぐに分かることです。

病院に1億3千万賠償命令 男児への医療ミス認め
2010年5月28日 提供:共同通信社


 病院が適切な治療を怠ったため重度の障害が残ったとして、福岡県柳川市の男児(4)が、病院を経営する雪の聖母会(同県久留米市)に約1億3900万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、福岡地裁久留米支部は28日、病院側に約1億3300万円の支払いを命じた。

 田中哲郎(たなか・てつろう)裁判長は判決理由で「注意義務を尽くして治療していれば後遺症が発生することはなかった。担当医師には過失が認められる」とした。

 判決によると、男児は2005年8月に生まれ、同病院で重症肺動脈弁狭窄(きょうさく)症と診断され治療を受けた。9月の手術後に高カリウム血症の症状があったのに薬の投与などの治療が遅れ、低酸素性虚血性脳症で生涯介護が必要な後遺症を負った。

 高カリウム血症になったのであれば、その原因があったはずで、何か治療をすればすぐに良くなるわけでもありません。「高カリウム血症の症状があった」のと、「高カリウム血症」があったのでは違いますから、何が問題になっているのか良く分からない記事です。

 当たり前のことですが、重度の先天性心疾患の手術がすべて理想的な経過をたどるわけではありません。残念ながら亡くなる方もいれば、後遺症の残る方もいるでしょう。何かをしておけば(あるいは、何かをしなければ)、悪い結果が必ず回避できるというものではないのです。そして、どのような症例でも、後から難癖を付けようと思えば何とでも言えます。いわゆる後出しジャンケンです。

 人間の判断にはどうしてもバイアスがかかります。最初に気づかなかったことが、後からだと気づかないはずがないと思うことは良くあります。「あと知恵バイアス」と言われ、よく知られていることです。

 裁判は必ず事後的に行われるものですから、裁判官を初め司法関係者はこのような認知バイアスについてよく知っていなければなりません。でも、いろいろな判決を見る限り、認知心理学を勉強しているようには見えません。むしろ、法律だけ勉強して、科学的常識はおろか、一般常識すら危うい様に見えてしまうのは偏見でしょうか。

 毎度のことですが、やはり記事からは分からないような病院側の重大なミスがあったのかも知れません。でも、我々は記事から判断するほかありませんから、それが書かれていない以上、医師としての常識で補うことになります。そして得られる教訓は、「君子危うきに近寄らず」です。リスクのある医療から医師が逃げ出している現実に、歯止めはかからないでしょう。





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Last updated  2010.05.30 10:06:06
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