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カテゴリ:医療
医療過誤として訴訟が起こされることはしばしばありますが、その報道からまともな情報を得ることはほとんど困難です。たいていの場合、過誤があったのかどうか判断する上で重要な情報が欠落しています。結果として、「なんか××病院で医療ミスがあって訴えられたみたいよ」という印象だけが残ります。
そして、もう一つ心配なことは、「誤診したら訴えてもいいんだ」という風潮が広まることです。野球で三遊間を抜ける打球はエラーではなくヒットです。 同様に、実際に病気があっても、診察や検査をすり抜けることもあります。 これはミスではなく、医療の限界なのです。 ですから、誤診による訴訟の記事を書くなら、ミスによる誤診なのか、医療の限界(インフラを含む)から正しい診断に至ることができなかったのか、判別可能な記事を書いてほしいと思います。 医療過誤訴訟 病院側争う姿勢 地裁下関で初弁論 必要な情報が書かれているかという観点からは、この記事は全くだめな記事です。そもそもなぜ受診したのか、その理由すら書いていません。受診したのは女性外来と総合診療科ですから、患者自身も肺癌を意識していたとは思えません。もし、子宮や乳腺の病気で受診したのであれば、肺癌を見つけろと言っても無理でしょう。 総合診療科の方は、咳や喀痰といった呼吸器の症状で受診したのかもしれません。それでも、上気道炎(風邪)に普通に見られる症状であれば、胸部レントゲンなどで特に所見がなければ対症療法で済ませるでしょう。 たいていの癌には特有の症状はありません。癌を早く発見したければ癌検診を受けるほかないのです。それとても万能ではありません。せいぜい、「受けないより受けた方がその癌で死ぬ確率が少なくなりますよ」というレベルです。 この記事の事例で病院側に責任があるとすれば、レントゲンにはっきりと異常陰影が写っているのに見逃した場合だけでしょう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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