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カテゴリ:医療
できるだけ注意することはできますが、「不注意」することはできません。また、人間の注意力には限界がありますから、絶対にミスをしないように注意し続けることもできません。「不注意」で片付け、ミスの原因を個人の注意力の欠如としてペナルティーを課すやり方では再発防止は図れません。本人も「なぜ間違ってしまったのか分からない」というのに、刑罰を与えても得るものは何もありません。
再発防止のためには、ミスの起こりがたいシステムを構築するべきなのです。具体的には、確認リストと指差呼称の採用やダブルチェックなどです。また、間違いやすい指示を出さないことも重要です。 実を言えば、点滴に用いる輸液ポンプは小数点以下の精度はありません。ですから、うちの病院で使っている輸液ポンプには小数点以下の設定はありません。おそらくほとんどの輸液ポンプも同様だと思います。その状況で小数点以下の指示が出れば、桁を間違うことはありそうですね。小数点以下の指示自体がミスの一因と言っても良いと思います。 速度10倍で栄養剤を点滴 業過致死容疑、書類送検 ところで、この記事を読んで、一般の方は何が起きたのか分かるのでしょうか。普通の輸液であれば、毎時253ミリリットルの点滴速度は死につながるようなものではありません。おそらくは高濃度のブドウ糖の入った高カロリー輸液だったのでしょう。そうだとすれば、10倍の速度で投与すれば、致命的な高血糖を起こしても不思議はありません。 ほとんどの読者は一般の方なのですから、読んで分かるような記事を書いた方がいいと思うのですが、記者はどういうつもりでこの記事を書いたのでしょうか。そもそも、この記事を書いた記者自身が、自分の書いた記事を理解しているのでしょうか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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