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カテゴリ:医療
私の勤務先でも、掛け持ち麻酔は日常的に行われています。手術を待っている患者のニーズに応えるためには、そうせざるを得ないと言うことです。一時期なるべく掛け持ち麻酔をしないようにしようとしたことがありましたが、結局は命に関わる緊急手術を断るわけにも行かず、なし崩し的に元に戻ったという経緯もあります。
病院側が麻酔科医を雇わないのではなく、雇いたくてもいないというのが実情で、結局は常勤医ががんばるほかはありません。でも、がんばったあげく事故を起こし、刑事事件として捜査を受けると言うことになるなら、もうがんばれないかもしれません。 医師2人を書類送検 がんセンターで麻酔ミス 手術中のミスで重度後遺症、医師2人を書類送検 私が掛け持ち麻酔をするときに、執刀医に引き継ぐことはありません。基本的には短時間で行ったり来たりして、なるべく長時間目を離すことのないようにしていますが、目を離さざるを得ないときには、私は看護師にどのような状態になったら呼ぶべきかを指示しています。それはともかく、どうしてアラームが鳴らなかったのでしょう。 通常であれば麻酔器の吸気圧モニターによってアラームが鳴り、患者監視装置の呼気炭酸ガスモニターと酸素飽和度モニターによってもアラームが鳴るはずです。麻酔科医がわざわざ設定しなければ鳴らないようでは役に立たず、わざわざ設定を解除しない限り異常値を感知したらアラームが鳴るようでなければなりません。 マンパワーの不足により掛け持ち麻酔をせざるを得ない状況で、まともな機械もないのだとしたら、患者はもちろんのこと、麻酔科医も気の毒です。 もう一つ残念だったのは、昔の外科医だったら術野の色で低酸素であることが分かっただろうと言うことです。麻酔科医のいない時代の外科医は、そういう嗅覚を持っていました。もちろん今の若い外科医にそれを望むのは酷なことでしょう。今回の事故で執刀医の責任を問うのは筋違いだと思います。 こういう事故が起こると、また掛け持ち麻酔が問題になるのでしょう。問題になれば今後も同様に掛け持ち麻酔をすることは許されなくなるかもしれません。それはそれで私たちは楽なのですが、外科系は壊滅するかも知れません。 ところで、これは麻酔ミスなんでしょうか。麻酔器の回路が外れたという事故なんじゃないでしょうか。事故が起きても被害を出さないことが重要なのはその通りですが。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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