いくら結果が悲惨であろうと、うっかりミスに刑事罰を与えることには反対(行政処分なら可)なのですが、システムで防げる事故は、やはり防いで貰いたいですね。
手術の際に、患者の取り違えや左右の取り違えというミスは何度か起きています。そのようなミスを他人事にしないで再発防止に役立てれば、被害を受けた人も少しは救われるでしょう。
今では多くの病院で患者取り違えや手術部位の間違いを防ぐ手段が講じられていると思います。うちの病院でも患者にはネームバンドを着けて貰い、手術室に入室するときには患者が自分で名乗り、受ける手術(左右を含めて)を言い、看護師が二人でネームバンドと手術申し込み票を確認することになっています。
麻酔導入前には麻酔科医が患者を確認し、手術前には術者、麻酔科医、看護師が全員で患者名と術式(左右の確認も)を確認するタイムアウト制を採用しています。それで完璧かどうかは分かりませんが、出来ることはするべきなのでしょう。
以下は一年前に起きた事故の記事です。健常な腎を摘出され、癌を残されたのですから堪りません。チェックシステムがなかったのだとしたら、医療安全に対する意識が低いと判断されても仕方がないでしょうね。現場の個人に任せていたら、必ずうっかりミスは起きますから。
医師2人を書類送検 左右取り違え腎臓摘出
2011年2月7日 提供:共同通信社
栃木県警小山署は4日、腎臓がん手術の際、左右を取り違えて正常な腎臓を摘出したとして、業務上過失傷害の疑いで、小山市民病院(同県小山市)に勤めていた男性医師2人を書類送検した。2人は容疑を認めているという。
送検容疑は昨年2月10日、同病院の泌尿器科長で執刀医だった男性医師(49)と別の男性医師(40)は、小山市の男性患者(70)の手術で健康な左の腎臓を誤って摘出、損失させた疑い。
小山署によると、執刀医は手術箇所の皮膚に印を付け忘れ、もう1人の医師はコンピューター断層撮影写真の裏表を間違えて示したため、左側を摘出したという。
同病院は、男性患者は転院先で抗がん剤治療を受けており、容体は安定していると説明している。