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カテゴリ:医療
口蓋扁桃の摘出術で怖いのは術後の出血です。手術中の止血法は、電気メスで凝固するか糸で縛る結紮ですが、出血が止まったと思っても、まれには後に出血することもあります。特に結紮の場合、口腔内の操作ではしっかりと縛ったつもりでも、狭さ故の制約からゆるいこともあるでしょう。よほど下手な手術をしたのでないかぎり、術後出血そのもので、術者の責任を問うのは厳しすぎると思います。
そのような点を勘案したかのような判決と思われる記事があります。問題は、過失を別なところに求めたことが妥当かどうかですね。 損賠訴訟:労災病院過失に賠償命令 術後脳障害、呉の女性側に8660万円 /広島 この記事では担当医となっているので、おそらくは耳鼻科医と思われますが、少なくとも私の知っている耳鼻科医で、意識下挿管を難なくこなす者は居ません。まして、大量に出血している状況では無理でしょう。 例え麻酔科医だとしても、麻酔下で挿管できない症例に意識下で挿管することは困難だと思います。意識下挿管の良いところは、挿管できなくとも自発呼吸があるので安心と言うことですが、この症例は安心だったのでしょうか。 「再挿管による呼吸の確保を図ったが」との記載から見ると、元々呼吸の出来ない状況を何とかしようとしたのでしょう。大出血を起こしたことが危機的状況なのであり、それに対処できないことを責めても、出来なかったものは仕方がありません。 きっとどこかのお偉いさんが、自分では何も出来ないくせに、ちゃんとやれば対処できたはずだというような意見書を出したのでしょうね。私だったら、そんなことは言えません。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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