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医療報道を斬る

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2011.05.23
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カテゴリ:医療
 今回は同じ事例を扱ったと思われる二つの記事を比較してみようと思います。最初は読売の記事から。

名大病院で医療事故、手術中に小1児童死亡
2011年5月17日 提供:読売新聞

 名古屋大学医学部付属病院(名古屋市昭和区)で昨年7月、小学1年の児童(当時6歳)の腹膜内腫瘍摘出手術を行った際、大動脈を傷つけ、児童が出血性ショックで死亡したことが分かった。

 松尾清一病院長は17日、「心からおわび申し上げたい」と謝罪した。

 病院によると、児童は昨年夏、背中から腹部にかけての腫瘍が見つかり、全摘手術を受けた。その際、背中側まで切除を進めたところ、何らかの原因で大動脈を損傷させたという。家族には「2、3時間で終わる」と説明していたが、児童は手術開始の約8時間後に大量出血し、その約4時間後に死亡した。

 事故後、外部識者を中心に設置された事故調査委員会は、スタッフ間の意思疎通や血管損傷などの事故発生に備えた機材の準備、家族への説明が不十分だった--と指摘した。


 腹腔内のある程度癒着した腫瘍を摘出しようとすれば、時には大動脈を損傷させることもあり得ます。でも、そうなったら死亡する恐れが大ですから、その様なことにならないように気をつけることも事実で、滅多に起こることではありません。滅多に起きないことに備えよと言ったら、すべての開腹手術で大動脈損傷に備えなければならなくなります。それは現実的ではないでしょう、と言うような感想になりますね。この記事を読んだ限りでは。

 次は共同通信の記事です。

名大病院でミス、児童死亡 腫瘍摘出手術で大動脈損傷
2011年5月18日 提供:共同通信社

 名古屋大病院は17日、小児がんの一つ「神経芽腫」で入院していた児童=当時(6)=の腫瘍を全摘出する手術の実施中に大動脈を損傷、出血性ショックで死亡させる医療事故があったと発表した。

 病院によると、児童は膵臓(すいぞう)近くに腫瘍ができ、小児科で昨年7月、悪性腫瘍と診察されたが、後日、小児外科が実施した腫瘍表面の組織を採取する検査手術では良性とされた。

 小児科は再検査するよう小児外科に依頼したが、執刀医は検査結果で腫瘍が良性だったほか、「患者への負担を軽くするため、開腹を1度で済ませるべきだ」と判断、腫瘍の全摘出手術に変更した。

 執刀医は手術前「2~3時間で終わる」と家族に説明しただけだった。手術中、腫瘍とつながるなどし位置が変わっていた大動脈を誤って傷付け、児童は12時間後に死亡したとしている。

 腫瘍は悪性と良性が混在した状態だったことが手術後の病理検査で判明した。

 病院は「医師同士の情報共有が不十分だった」などとする調査結果を公表。松尾清一(まつお・せいいち)院長は「病院の管理体制の不備。家族への治療方針の説明も足りなかった」と謝罪した。


 こちらの記事では手術に至る経過が分かる記載です。腫瘍は膵近くの大動脈を巻き込んだもので、組織診断再検のために小児科の依頼により、試験切除をする予定だったようです。でも、小児外科医は手術を選択したと言うことなのでしょう。このあたりの意志決定の経過まで分かれば更に良かったと思います。

 記事を読んだ感想としては、小児外科医は手術を簡単に考えていたと思われます。膵近くの腫瘍の手術は決して簡単とは思えませんが、おそらく小児科医も同意見で、組織検査で腫瘍の組織学的診断が付けば、手術以外の治療も視野に入っていたのではないでしょうか。

 刑事事件にするのは絶対に反対ですが、この記事を読む限り、民事に関しては病院側は分が悪いと思います。





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Last updated  2011.05.23 18:08:17
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