自分が癌にかかったのかどうかアンケートを採ると、かなりいい加減な結果になるようです。実際に癌にかかったのに申告しない場合は告知の問題や正直に答えたくない人の存在など、いろいろなことが考えられますが、癌にかかっていないのにかかったと申告するのは勘違いの可能性が高そうです。
その様な勘違いをした人が何らかのインチキに引っかかった場合、善意でインチキの広告塔になることもあるのでしょうね。もともとインチキ療法士に癌と言われて信じ込んだ人も含まれると思われますが。
「××で癌が治った」と言う体験談は、眉につばを付けて聞いた方が良さそうです。
「がんにかかった」自己申告の4割は誤り-国立がん研究センター
医療介護CBニュース 2011年5月27日
国立がん研究センターはこのほど、疫学調査のアンケートで「がんにかかった」と回答した人のうち、4割が実際にはがんにかかっておらず、誤った申告をしていたとの研究結果をまとめた。
岩手、秋田、茨城、新潟、長野、大阪、高知、長崎、沖縄各府県の10保健所地域の住民約9万3000人を対象に、2000年から04年にかけて行ったアンケートの回答とがん患者の登録症例を照合した。アンケートで「過去10年間に何らかのがんにかかった」と答えたのが2943人、実際にがんにかかり、登録されていたのは3340人だった。
照合結果によると、「がんにかかった」と回答した人のうち、本当にがんにかかっていたのは60%。残る40%は、誤って申告していた。一方、がんにかかった人のうち、アンケートにも「かかった」と回答していたのは53%で、47%は申告していなかった。こうした自己申告とのずれについては、がんを告知されているかどうかに加え、がんであることを言いたくない、または自分はがんではないかと疑うといった心理が影響していると考えられるという。
一方、米国やスウェーデンの調査では、がんになった人の約8割がアンケートにも正しく回答しているといい、「社会や文化、宗教などの背景の違いが関係しているのではないか」と分析している。
同センターの研究班は、「インフォームド・コンセントが普及してきた最近においても、がん罹患を自己申告から正確に把握するのは難しいことが判明した」と指摘。さらに、「自己申告のデータによる研究では、信頼性の高い結果を得ることができない」とし、がんをはじめとする生活習慣病の実態把握や予防法解明のためには、法的に整備された疾病登録が必要だとしている。