日本の救急医療は、救命救急センターを含めて、言わば「なんちゃって救急医療」です。本来であれば専門の救急医が24時間対応するか、各科の医師を24時間絶え間なく配備するかして行うことが理想ですが、その様な体制の取れるところはほとんどありません。実態は、休日夜間は各科の医師が交代で日直・宿直をし、労働基準法で禁じられている通常業務の医療を行うことでまかなわれています。当然、専門外の疾患を診ることになります。
このような体制で、ひとりひとりの高齢者に24時間万全の医療を行うことは不可能だと私などは思うのですが、世間の常識はそうでもないのでしょうか。不可能なことを求められたとき、やめるという選択肢は当然ありますが、まだまだ日本の医師は頑張っています。
一時期、医療崩壊は秒読みだと思っていましたが、最近は持ち直してきました。でも、このような訴訟が増えてくると、医療崩壊待望論が息を吹き返してきそうです。もちろん記事からは詳細が分かりませんので、実際にどのようなレベルの医療が行われたのか不明ですが、このような記事を見ると、医師のやる気が削がれることは間違いありません。本当に訴訟にいたって当然のような低レベルの医療が行われたのだとしたら、その詳細まで書いた方が良いと思います。
損賠訴訟:別府医療センターを提訴 /大分
急性心筋こうそくで死亡した別府市内の女性(当時81歳)の遺族が約4100万円の損害賠償を求め、地裁に。訴状によると、女性は1月30日、胸の痛みで受診。専門外の当直医が検査し、異常なしと診断。指示に従って翌日に循環器科を受診したが、急性心筋こうそくと診断され心破裂で死亡した。原告側は「早期に正しく診断されれば命は失わなかった」と主張。センターは「訴状内容を検討し、考えを主張したい」としている。