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カテゴリ:医療
炭酸ガスのボンベと酸素ボンベの取り違えについては以前にも書いたのですが、今回の事例は対処していながら利便性のために落とし穴にはまったということのようです。
酸素と間違え二酸化炭素、患者重篤…神戸の病院 こうした事故は実は何度も起きていて、ボンベの色がJIS規格で、医療ガスのアウトレットや麻酔機のガスの表示色が国際規格と、統一されていないことが一番の原因だと思っています。炭酸ガスのボンベの色は緑で、麻酔機の酸素のダイアルも緑なのです。今回のケースのように、疲労困憊していれば、ついうっかりと間違えてもおかしくありません。 規格は医療側ではどうしようもありませんので、炭酸ガスのボンベに酸素の流量計がつかないように、多くの施設ではヨーク弁のついた医療用ガスを採用するようになりました。これで酸素の流量計がつかなくなって、酸素と炭酸ガスの取り違えは起こりにくくなったはずなのですが、今回の事例では、それでも起きてしまったということのようです。 今回の手術は腹部大動脈瘤の手術ですから、心臓血管外科の領域です。手術室も心臓血管外科の手術を行うことに決まっている部屋を使ったのでしょう。 心臓の手術では、血管内に空気が入る空気塞栓を防ぐために、術野に炭酸ガスを流すことがあります。そのためにはボンベにつながる流量計が必要で、心臓血管外科手術を行う部屋には流量計付きの炭酸ガスボンベがあったのでしょう。流量計さえあれば、記事では「人工呼吸器」とされているジャクソンリース回路(PDF)に繋がってしまうので、このような事故が起こりえます。 事故を防ぐために酸素の流量計がつかないようにしたのに、必要があって工夫して流量計をつけ、結局事故が起きてしまった。様々な伝聞情報を総合すると、今回の事例はこのような出来事だったようです。 私の勤務先であれば心臓血管外科用の炭酸ガスボンベは大きいので、たとえ酸素と間違えても患者の搬送用に使うことはありません。この病院でも大きさを変えていれば防げていたのかも知れませんね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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