私はどうしても検察審査会というものを信用できません。人間というのはどうしても結果論で考えるものです。心理学では「後付けバイアス」と言うようです。司法関係者がどれだけいろいろなバイアスに通じているのかは疑問ですが、それでもずぶの素人よりはマシだろうと思います。
日常では人が死ぬと言うことは大変なことですが、医療の現場では逆に死が日常なのです。そこで結果論で判断され、人が死んだのだから誰かの責任であるかのように思われたら堪りません。
以上はあくまで一般論で、以下で紹介する記事の事例にも当てはまると言っているわけではありません。いつものように、記事からは何も分かりませんから判断のしようもないのですが、どうやら
この事例のようですね。
虫垂炎症状見逃し患者死亡 医師の不起訴「不当」…検察審議決
患者の虫垂炎の症状を見逃して死亡させたとして業務上過失致死容疑で書類送検され、大阪地検が不起訴(嫌疑不十分)とした40歳代の男性医師について、大阪第3検察審査会が「漫然と診察し、血液検査など最低限の検査を怠った」として、不起訴不当を議決したことがわかった。
10月26日付の議決などによると、医師は2006年11月、大阪府内の病院で当時43歳の男性患者を診察。風邪と診断したが、患者は翌日死亡した。解剖の結果、死因は虫垂炎による敗血症ショックで、診察時にすでに虫垂炎を発症していたとみられることがわかった。
遺族は「診察時に腹痛を申告していた」と主張したが、地検は今年7月、カルテに腹痛の記載がないなどとして不起訴にし、遺族が同審査会に申し立てていた。
(2011年11月26日 読売新聞)
この記事については
Yosyan先生のブログに詳しい事情があります。遺族側の情報はこれである程度分かるのですが、刑事被告人候補の医師の言い分が分からないので、ここでは判断はしません。
この事例の是非はともかく、日常の診療を、刑事被告人にならないように気を遣いながら行うのはイヤだなあ。