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カテゴリ:暮らし
放射線被曝の害は、低線量であれば急性障害は考えなくて良いので、結局は将来的な発癌性です。一度に100mSv 被曝するとわずかに発癌率が上がりますが、それ以下の被曝では他の因子の影響に埋もれてはっきりしたことは言えません。安全管理の面からは、被曝量に応じた危険があると見なします。
放射線の場合は原爆や原発事故によって様々な被曝症例があり、データが蓄積されています。さらに、害があると分かっている被曝量よりもずっと少ない量まで線量を計測することが出来ます。そのため低線量被曝でもリスクの予測を計算することが可能です。 たいていの人は今まで安全だった食物が原発事故の放射線によって脅かされていると思っているでしょう。今までは、大気中核実験の時代には結構な量の放射性物質があったのだよ、とか、自然の放射線量だって結構あるんだよ、などと、放射線の枠内でリスクを大げさにとらえるべきでない理由を書いてきました。でも、考えてみたら、食物ってちっとも安全じゃないんですよね。少なくとも発癌性に関しては。発癌物質の表 を眺めてみると、食品に含まれているものがたくさんあります。 今までも食物は安全だったわけではなく、様々な発癌物質を以前から含んでいました。それぞれ急性毒性を起こすほどの量ではないので、「直ちに危険はない」というだけなのです。そこにほんの少し放射線の害が加わっても、ほとんど問題にならないでしょう。むしろ、放射性物質を避けようとしてさらなるリスクを背負う可能性もあります。 水道水からセシウムがほんの少し検出されるだけでパニックになる人は居ます。東京都のセシウムの目標値は 10Bq/kg ですが、今では実際に検出されたとしても計測値はその千分の一くらいです。全く問題のない状況なのですが、それでもペットボトルの水を買う人は多いようです。実は発癌リスクを増やしているとも知らずに。 水道水のヒ素の基準値は 0.01mg/L。水道水以外の水のヒ素の基準値は 0.05mg/L。実際の濃度と基準値が比例するとは限りませんが、基準値だけから判断すると、ペットボトルの水を買うことによって高い発癌性のあるヒ素をわざわざ余分に摂取していることになります。元々水道水に危険はありませんから、ペットボトルの水でリスクを軽減することはあり得ません。せめて赤ちゃんにだけはと思ってペットボトルの水を使っている人も居るかも知れませんが、返って危険かも知れません。 I-131 が100Bq/kg も有ると大騒ぎになるでしょうが、アフラトキシンB1の測定限界が10ppb(10μg/kg)で有ることを問題にする人は居ません。100Bq/kg のI-131と10ppb の アフラトキシンB1を比べると、後者の方が5桁近くも発癌性が高いのです。 参考図書 首都圏はもちろん、福島県内でも、あまたあるリスクと比べて深刻な被曝被害があるわけではありません。小出裕章氏は年間20ミリシーベルトの被曝の危険性を泣いて訴えましたが、多くの科学者は冷ややかでした。推定摂取量のアクリルアミドの発癌性はその10倍です。食物から摂取する発癌物質はヒ素やダイオキシンなど多岐にわたりますから、その程度の被曝量の害は事実上誤差範囲です。何も泣くことは無いじゃないかと思った人は多いでしょう。 このように考えてみると、被曝疎開で仕事を失ったり、家庭崩壊の危機に見舞われたり、ストレスから子供に当たり散らすようになるくらいなら、住み慣れた地元で過ごした方が良さそうです。疎開先で悩んでいる人が居たら、考え直して欲しいなあ。 注:100mSv以上の被曝の発癌性についてはヒトでのデータがありますが、食品に含まれている発癌物質については実際にヒトでの発癌性が調べられているというわけではなく、動物実験などからの推定値と思われます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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