ウイルスによって他人のPCを乗っ取り、強迫メールなどを送りつけた真犯人が犯行声明を出したとのこと。この件に関しては、無実の人が4人も逮捕されていて、うち二人は犯行を認め、動機まで「自白」しています。犯行声明があったから冤罪と分かったものの、そのままだったら名誉回復の機会はなかったことでしょう。
真犯人が卑劣だというのはもちろんですし、安易にソフトをダウンロードしてはいけないとも思いますが、私が一番感じたのは、人間はやってもいない犯行を動機まで含めて「自白」するということです。
つまり、今まで有罪判決を受けてきた「犯罪者」のうち、明らかな物証が無く、自白によって有罪とされた人たちは冤罪かも知れないのです。
実を言うと、こんなことは過去の冤罪事件から分かっていたことでした。でも、日本の司法は未だに自白偏重で、メディアもたまに批判的な記事を載せるものの、多くの事件では警察の発表をそのまま報道しています。
(脱線ですが、ニュースでは「間違い有りません」と認めたとされることが多いが、今時そんな言葉遣いをする人はいるのかと、いつも疑問)
今回は分かりやすい事例なのか、自白に頼る捜査の危うさを自覚しているように見えて、今後に少し期待をしています。
PC遠隔操作:逮捕の2人一時否認…「声明」言及の事件
毎日新聞 2012年10月15日 23時08分
パソコンの遠隔操作ウイルス事件で、秋篠宮ご夫妻の長男悠仁さま(6)が通う幼稚園や横浜市の小学校に襲撃予告のメールを送り付けたとして、威力業務妨害容疑で逮捕された男性2人が一時、捜査当局の取り調べに容疑を否認していたことが、捜査関係者への取材で分かった。2事件ともTBSに送り付けられた犯行声明で関与に言及している。
神奈川県警によると、6月に横浜市のホームページに小学校への襲撃予告を書き込んだとして、男子大学生(19)を逮捕。当初は「やってない」と否認したが、その後、横浜地検に「楽しそうな小学生を見て困らせてやろうと思った」と容疑を認めたという。すでに保護観察処分が決定しているが、県警は一連の経緯について調査を始めた。
一方、8月に秋篠宮ご夫妻の長男悠仁さまが通う幼稚園への襲撃予告を送信したとして、警視庁に逮捕された福岡市の無職男性(28)もいったんは「同居の女性がやった」と関与を否定していた。しかし、その後は容疑を認め「就職活動で不採用になったのでむしゃくしゃしてやった」と具体的に動機を説明。さらに有名子役タレント事務所への脅迫メールを送信したことも認め、再逮捕されていた。ただ、地検の調べには否認していたという。
警視庁はこれまで「容疑を認めており、大阪などの事件とは異なる」と強調していた。ただ、今回の「犯行声明」は、犯人しか知り得ない詳細な内容で、実際に送り付けられたメールと全文が一致していた。捜査の見直しを迫られる可能性もあり、捜査幹部は「動機もきちんと供述していたのに」と困惑した様子で話した。【小泉大士、喜浦遊、松本惇】
◇警察庁が否認事件調査を指示
警察庁は15日、過去4年間に立件した同様の事件について成り済ましの可能性がないか調べるため、否認事件などを洗い出すよう全国の警察本部に指示した。08年4月以降に偽計・威力業務妨害や脅迫容疑などで立件された事件が対象。容疑者が否認したまま起訴されたケースなどを洗い出し、供述の不審点の有無などを調べるとしている。