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2012.10.24
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カテゴリ:事件
 リスクの伝達は悩ましいものがあります。大きく見積もればパニックを引き起こす恐れがありますし、小さく見積もれば被害を大きくする恐れがあります。でも、自分たちの見解を公表したら実刑をくらうとまで予想する科学者はいなかったでしょうね。ついこの間までは。

伊地震判決:日本の科学者に波紋 予知失敗で禁錮6年
毎日新聞 2012年10月23日 21時55分

 09年に起きたイタリア中部ラクイラの大地震を巡り、地震前に発生のリスクを議論した伊政府の委員会メンバーだった地震学者らに、禁錮6年(求刑同4年)を命じた現地の判決は、世界最悪レベルの地震リスクを抱える日本の科学者にとっても人ごとではない。

 昨年、現地で遺族や被告の科学者らに聞き取りをした大木聖子・東京大助教(地震火山情報学)は、「非常に厳しい判決と思う。(伊委員会の)議論はリスクに触れていたが、行政側はパニックを防ごうと『安全宣言』した。訴追された科学者が利用された印象だ」。その上で「現地では地震が増えれば車で寝る習慣があり、リスク情報が伝わっていれば助かった命もあったはず」と指摘する。

 山岡耕春・名古屋大教授(地震学)は「本来科学者の議論は自由であるべきなのに、責任が前面に出るとそれが阻害されてしまう」と話す。

 東海地震で予知情報の発信を目指す気象庁長官の諮問機関「地震防災対策強化地域判定会」の阿部勝征会長(東京大名誉教授)は、23日の定例会見で判決への感想を問われ、「地震予知は現時点では非常に難しいが、不可能だと証明されたわけでもない。可能性がある以上は最善の努力を尽くし、見逃さないようにしたい」とした。

 東日本大震災を予測できなかった反省から、地震学者の中には東海地震の予知体制を改めるべきだとの声もある。【八田浩輔、池田知広】
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 この件に関しては多くの報道がありますが、この記事を選んだのは以下の理由から。まず、委員会はリスクに触れていたが行政側がパニック対策として安全宣言を出したとしていること。もう一つ、地震の時には車で寝る習慣があったことに触れていること。

 繰り返す地震によってエネルギーが解放され、大きな地震が起きにくくなると判断されたようですが、それ自体はあながち間違いとは言えないような気がします。というより、科学者がそう判断したのであればそうなのでしょう。(訂正。これは誤りのようです)そして、その見解を公表することに問題はないはずです。それが安全宣言という形でリスクがゼロであるかのように発表されたとすれば、責められるべきは行政であり、科学者ではないでしょう。

 また、車の中で寝ることで被害を防げたという判断には、簡単にはうなずけません。日本で大地震の後に余震が続いたときにいつも見られることですが、車で寝ることで肺塞栓症を起こして亡くなる方が結構いるのです。リスクを多く見積もって実際には大地震が来なかったとき、家で寝ていれば助かった命が失われた可能性はあるでしょう。

 結局はこの有罪判決というのは大地震が起きたことを受けての結果論です。いつも私が言っている後出しジャンケンですね。こんなことをすれば、今後リスクに絡むことで協力する科学者はいなくなるでしょう。たとえ不確かな部分があるとしても、確率から見たら、科学者の見解は重要だと思いますけどね。





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Last updated  2012.10.25 20:55:51
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