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カテゴリ:事件
リスクの伝達は悩ましいものがあります。大きく見積もればパニックを引き起こす恐れがありますし、小さく見積もれば被害を大きくする恐れがあります。でも、自分たちの見解を公表したら実刑をくらうとまで予想する科学者はいなかったでしょうね。ついこの間までは。
伊地震判決:日本の科学者に波紋 予知失敗で禁錮6年 この件に関しては多くの報道がありますが、この記事を選んだのは以下の理由から。まず、委員会はリスクに触れていたが行政側がパニック対策として安全宣言を出したとしていること。もう一つ、地震の時には車で寝る習慣があったことに触れていること。 繰り返す地震によってエネルギーが解放され、大きな地震が起きにくくなると判断されたようですが、それ自体はあながち間違いとは言えないような気がします。というより、科学者がそう判断したのであればそうなのでしょう。(訂正。これは誤りのようです)そして、その見解を公表することに問題はないはずです。それが安全宣言という形でリスクがゼロであるかのように発表されたとすれば、責められるべきは行政であり、科学者ではないでしょう。 また、車の中で寝ることで被害を防げたという判断には、簡単にはうなずけません。日本で大地震の後に余震が続いたときにいつも見られることですが、車で寝ることで肺塞栓症を起こして亡くなる方が結構いるのです。リスクを多く見積もって実際には大地震が来なかったとき、家で寝ていれば助かった命が失われた可能性はあるでしょう。 結局はこの有罪判決というのは大地震が起きたことを受けての結果論です。いつも私が言っている後出しジャンケンですね。こんなことをすれば、今後リスクに絡むことで協力する科学者はいなくなるでしょう。たとえ不確かな部分があるとしても、確率から見たら、科学者の見解は重要だと思いますけどね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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