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日本の夜間・休日の医療は、多くは当直(宿直)医によって行われています。宿直というのは電話番や定時の巡回などの限られた業務を行い、十分な睡眠のとれる内容とされています。救急患者を広く受け入れている病院での夜間・休日の診療は、当然のことながら宿直の業務の範囲を超えています。
昼間通常の勤務を終えた医師に、通常勤務をせずに十分な睡眠をとれることが建前の当直業務を僅かな当直料で行わせ、その実態が通常業務と同様の診療行為であり、ろくに眠れず、また翌日も通常の日勤業務を行わせているとしたら、これは明らかな労基法違反です。 このような事例を法的に争えば、まともに考えれば使用者側が負けるに決まっています。それなのになぜ最高裁まで争ったのかと言えば、不法行為が日本の常識だからでしょう。 冒頭に述べたとおり、日本の救急医療は不当労働行為によって支えられています。それがいけないと言うことになれば、救急医療そのものが成り立ちません。単に、当直料ではなく時間外の給与を払えば良いというものでもありません。32時間連続勤務などということが許されて良いわけがないからです。 何はともあれ、民事とはいえ当直医に通常業務を行わせることは違法であるという最高裁判決が出ました。今までと同じことを続けていけない以上、今後の医療のあり方を社会全体で考えなければなりません。 まずは、不要不急の受診の抑制が必要だと思われますが、そのためには医療相談などのシステムの構築が必要です。でも、何か問題が起きたらすぐに責任を問うような体質が改まらない限り難しそうです。もうすぐ引退する私には、医師としては他人事ですが、患者としては他人事ではありません。どうなるのでしょう。 医師当直は時間外労働…割増賃金命じた判決確定 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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