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カテゴリ:医療
静脈は動脈と違って陰圧になり得ること、中心静脈(心臓に近い大きな静脈)に挿入したカテーテル(管)を抜去したときには静脈内への空気の流入が起こりうることなどは知っていました。でも、それで脳空気塞栓症が起こることまでは知りませんでした。
「静脈に空気入り死亡」 医療事故と遺族、告訴検討 新聞記事からは詳細が分からないことはいつものことで、何故空気が入ったのかは分かりません。透析用カテーテルを抜去したところから空気が入りうることは事実ですが、それで脳空気塞栓症が起きるとは考えられないと思っていました。ところが、調べてみるとこんな警告がありました。一部を抜粋します。 透析用のカテーテル抜去後に脳空気塞栓をおこした報告は調べた限りでは国内にはなく、オランダで唯一1件報告例があった。 極めてまれとは言え、実際にあるのですね。でも、静脈に入った空気は普通は肺動脈で止まります。脳空気塞栓症は心臓の壁に穴でも開いていなければ起きないと思われます。 色々と調べていくと、胎児の時に心房の壁(心房中隔)に開いていた卵円孔が塞がった痕(卵円窩)が、20%位はきちんと閉じていないと言うことが「ラングマン人体発生学第10版」に書かれているようです。(未確認) 通常は左房圧の方が右房圧より高いので卵円窩は閉じているのですが、逆に右房圧の方が高くなると開く可能性があるという意見が某掲示板で循環器科医師からありました。 肺動脈に空気が溜まると右房圧も高くなりますから、卵円窩が開いて左房に空気が流入し、脳空気塞栓症を起こすこともありそうです。 何らかのミスで空気を静脈内に送り込んだのであれば別ですが、カテーテル抜去によって極めてまれな脳空気塞栓症が起こったのだとすれば、当事者の責任を問うのは気の毒に思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2013.07.14 05:06:54
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