医療報道を斬る

　伊藤みき選手がソチオリンピックモーグルの予選で負傷棄権となりました。伊藤選手の状態を新聞などで知っていた医師の多くは、このことを予想していたと思われます。はじめからわかりきったことだと思っていたのは私だけではないはずです。

　この記事によりますと、伊藤選手の怪我は前十字靭帯の部分断裂だったようです。記事の中で医師にオリンピックへの参加を止められたことが紹介されていますが、医師としては当然でしょう。

　オリンピックは４年に一度のことなので選手があきらめきれないのは当然ですが、やはり周りは冷静に対処すべきです。いくら筋力を鍛えても、関節自体がきちんと固定されていなくては、世界レベルで戦えるはずはありません。

　前十字靭帯損傷についてはこちらをご覧ください。おそらくはもっとも膝に負担のかかる競技と思われるモーグルに出場することがいかに無謀かわかるのではないでしょうか。膝関節内の他の靱帯や半月板、軟骨などに損傷が及んでいなければ良いのですが。