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カテゴリ:医療
非医療従事者にもわかりやすいように、こんなことを考えてみました。
消化剤の服用でたくさん食事をとれるようになるかを調べるとします。 A群 いつ食事をしたのか不明な群で、消化剤の服用なし。 B群 30分前に食事をした群で、消化剤服用あり。 C群 食べ過ぎて苦しいので消化剤を服用した群。 以上の3群に好きなだけ食事をとらせたら、食べた量は多い順からA群、B群、C群になるでしょうね。 このことから、消化剤を服用すると食事がとれないと言えるでしょうか。 もちろんそんなことは言えません。 6月29日のBSフジサンデースペシャルで近藤誠氏が抗がん剤が有害であるとして示したフリップが、実はこのようなものでした。 フリップの内容はNATROMの日記をご覧ください。いずれも転位のある末期の乳がんで、A群は無治療、B群は抗がん剤あり、C群は抗がん剤乗換え群で、生存期間は長い方から順にA群、B群、C群であったというもの。つまり、抗がん剤は毒にしかならず、治療しない方が長生きできるという結論でした。参考文献も付いており、信用できそうな体裁をとっています。 書籍なら、近藤氏の本を買うような医師は殆どいないのでデタラメがばれるようなことは無かったのでしょうが、テレビとなると画像の取り込みも容易ですし、ネットでの集合知の利用も可能です。ツイッターなどで捏造が明らかになってしまいました。 参考文献を提示して図を見せたのですから、当該論文の中に同じ図が無ければなりません。でも、提示された論文は前立腺癌の論文で、乳がんのものではありませんでした。もちろん乳がん患者の生存曲線などは載っていません。 実際のABCの群は一つの論文のものでは無く、以下のような乳がんのものでした。 A群 初期癌を含む患者の症状出現時(診断より前)からの生存期間。抗がん剤なし。 B群 転移の認められた末期の癌で、抗がん剤を使用することになってからの生存期間。 C群 抗がん剤が効かないので別の抗がん剤を使用することになってからの生存期間。 こんなものを比べれば、A群の生存期間が一番長いことは当たり前です。 これで抗がん剤が効かないと結論づけるのは悪質な嘘と言って良いでしょう。 だまされる人が少しでも減ることを願って、拡散の意味で、あえてエントリとして取り上げてみました。 より詳しく、より正確に知りたい方はリンク先をご覧ください。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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