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医療報道を斬る

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2014.09.27
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カテゴリ:医療
医療において予想された順調な結果ではなく、予想しなかった悪い結果があったとき、往々にしてミスだと疑われることがあります。前もって説明があってもあまり変わりはありません。ミスを認めないと、患者の命など何とも思っていないかのように詰(なじ)られることもあります。

私自身にも経験があります。ある医師がきわめて珍しい悪性腫瘍を見逃した症例です。一応何らかの腫瘍性疾患を疑い、細胞の検査をしようとはしたのです。でも、心疾患のため循環器科から、抗凝固療法の中断を断られ、出血の危険が多かったので断念したのでした。結局、そのまま2ヶ月ほど対症療法のみで経過観察をしていました。

患者が他の施設を受診し、そこから大学病院にありふれた良性腫瘍の疑いで紹介されました。その大学病院から抗凝固療法の中断を打診されると、度重なる要請を受けたせいでしょうか、今度は循環器科は中断を了承しました

そして細胞を検査したところ、きわめて珍しい悪性腫瘍と判明したのです。その後の精査ですでに全身転移が認められ、治療の甲斐なく亡くなりました。

立場上、私がご遺族と対面することになりました。ご遺族とは何回か話し合いがもたれ、精一杯の哀悼の意を伝え、残念な気持ちも伝えましたが、ミスを認めないことで信頼は得られませんでした。

ご遺族は裁判のことを考えて私がミスを認めないのだと思い、裁判にすることは決してしないから、本当の気持ちを天国の父に向かって述べてほしいと言いました。でも、ミスだと思わない私は最後までミスとは認めませんでした。

帰りのエレベーターの中で、ご遺族は事務員に次のように言ったそうです。
「担当の医師への恨みはもうないが、**(私)だけは絶対に許さない」。

たとえミスではなかったとしても、結果が悪いとき、医師だってつらいのです。
たとえばここから引用してみましょう。

 出産で母子が危険な状況になりえるのは、何も助産所だけではありません。医療体制の整った大病院でも、母子の命を救えない状況は起こり得ます。不可抗力としか言えないこともあり、たとえ出来る限りの医療を施しても全ての命を助けられるわけではありません。そんな時、産科医療従事者はとても落ち込みます。何度もシミュレーションしなおし、本当に助かる可能性がなかった症例だったのか何度も皆で話し合います。そして、ご遺族に対して力が及ばず申し訳ないという気持ちを持ちます。

 よそから「助けられなかったなんてミスがあったはずだ」と言われれば、手を尽くしても助けられないこともあるため反発することもありますが、ミスのあるなしではなく、携わった方を救えなかった時に無力感とともに申し訳なさが湧いてくるのが自然な感情だと思うのです。


私にも患者を救えなかった申し訳なさはあります。もちろん残念でもあります。
たとえミスだと認めなくても、その気持ちに違いはありません。

退職してから以前より血圧も安定するようになりましたが、夜中まで働かなくなったことだけではなく、恨まれるような役職でなくなったことも影響しているのでしょうね。





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Last updated  2014.09.27 14:18:39
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