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医療報道を斬る

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2014.10.02
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カテゴリ:暮らし
美味しんぼの鼻血表現を擁護し、低線量被曝による鼻出血発症を主張する人たちの根拠としてしばしば中地重晴氏の文章が挙げられます。前にも北海道がんセンターの名誉院長である西尾正道氏の「微粒子に含まれる放射性セシウム被曝で鼻血がでる」という主張の危うさを指摘しましたが、中地氏の文章も何となくイディオロギーありきのように思われます。

中地氏の文章では、最初に震災や津波による有害化学物質の流出や建物の解体に伴う環境汚染について述べられていますが、後半はひたすら原発事故による放射能汚染について述べています。

そして、福島県双葉町,宮城県丸森町筆甫地区,滋賀県長浜市木之本町の3か所の住民の健康調査(の中間報告)を元に、放射線被曝による健康障害が起きたともとれるような書き方をしています。

最後には水俣病を引き合いに出し、そそっかしい人なら被曝が水俣病の有機水銀のような被害を引き起こしているかのように誤解しかねない表現になっています。

最終報告を見なければ分かりませんが、この健康調査にはいろいろと問題がありそうです。アンケート調査にはバイアスの影響を受けやすいという欠点があります。放射線障害について調べていると被験者が思い込めば、自分が被曝したと思っていれば、放射線障害で思い当たる症状が多く回答されるでしょう。一方、被曝していないと思っている人であれば、そのようなことは無いでしょう。

また、調査した地域の選定も不可解です。双葉町は震災と津波による甚大な被害と有害化学物質などによる環境汚染に加え、さらに他の地域よりも大きな初期被曝を体験しました。そして、原発事故後、早い段階で避難生活に入っています。

丸森町筆甫地区は、地震の被害もたいしたことは無く、津波はありません。しかし、被災後しばらくは停電し、電話も不通でした。流通も途絶え、ガソリンや食料などの品不足により、かなり不便な状況にありました。血縁者や友人知人を亡くした人もある程度いたことでしょう。また、今まで受けられていた医療を受けられなくなった可能性もあります。環境汚染も海岸沿いほどでは無いにしても、ある程度あったでしょう。

そのような状況で、原発からそれほど遠くないことから、双葉町ほどでは無いにしても、ある程度の被曝があったでしょう。でも、避難するほどでは無く、避難生活のストレスは体験しないで済んだと思われます。

長浜市木之本町は被曝もほんのわずかで、地震や津波とも無縁です。対照として問題があるわけではありません。

でも、双葉町の住民は短期間で町を出ていますから、被曝期間はほんのわずかです。住み続けている丸森町の住民とどちらが被曝量が多いのか分かりません。調査したのは2012年11月ですから、双葉町住民にとっては避難生活が1年8ヶ月続いた後のことです。たとえ健康に問題があるとしても、避難生活の影響が多いことは想像が付きます。

また、丸森町の住民の状況はきわめて中途半端です。当時の被曝量が分かっているわけでも無く、日常生活の破綻の程度も人それぞれでしょう。農家も福島県ほどでは無いにしても、放射能汚染や風評被害によってかなりの痛手を受けたでしょう。

結局、木之本町に比べて双葉町や丸森町の住民の健康状態は問題があり、鼻血も多いという結果のようですが、それで何が言えるのか、あまりに被験者の背景がばらばらで分からないのでは無いでしょうか。その他の健康障害にしても、被曝とは無関係としか思えないものが多数上がっていますし。

もし被曝の影響を調べるのだとしたら、せめて、被曝量のずっと少ない釜石市などで被災し、避難生活を余儀なくされている人たちの調査を加えるべきだったと思います。

放射線被曝の害を知りたいのなら、他の因子を排した調査が必要です。そして、実はそのような調査はあるのです。原爆による放射線被曝などのデータもありますが、被爆者はそれまでの日常生活とかけ離れた状況です。でも、医療被曝なら、被曝前と生活環境が変わるわけではありません。

「放射性医薬品副作用事例調査報告」でネット検索すると、数億ベクレルの放射性物質を投与した副作用の報告があります。副作用は毎年10万人に2件くらいの報告で、全例の詳しい症状が記載されています。多くは血管迷走神経反射やアレルギー反応で、いわゆる急性放射線障害のような症状ではありません。また、私の見た範囲では、鼻出血の記載もありませんでした。
(毎年100万件以上の投与症例の調査)

まあ、低線量被曝で鼻血が出るというのは、都市伝説と言うことで良いのではないかと思います。





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Last updated  2014.10.02 17:56:53
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