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いつか、この日が来るんじゃないかとは思っていた。
初めて出会ってから3か月。 彼女の方から切り出してきた。 「これでひとまず終わりにしましょうか」 正直、ショックだったが 彼女は淡々と話を続けた。 「だいぶ皮膚も柔らかくなってきましたね。 でも、まだ事故から5か月。 テープによる治療は あと1か月ぐらいは続けた方がいいですね。 その後は日焼けにも気をつけてください。 傷口に色味がつくと目立ちますから」 彼女とは通院先の女医さんのことで 顔を合わせるのは1か月に1度だけだった。 美人というわけではないが 清楚なルックスとつぶらな瞳、 鼻にかかる声が魅力で 会うたび、勝手にドキドキしていた。 でも…ケガが治ったおかげで そんなささやかな楽しみにも ピリオドが打たれることになった。 10月31日の事故から5か月弱。 気がつけば額のキズだけでなく 脱臼した右肩の痛みも癒えていた。 先生からは「もし傷口が気になるようでしたら ジグザグに切って縫い直すという手段もあります」 という“再会プラン(?)”も提示されたが もう終わりにしてもいいだろう。 事故った時は 「体は時間が経てば治るけど 壊れた自転車は治らない」と 自分のケガよりも自転車のことを気にしていたが 額と右眉、鼻の下のキズは 薄くなっても消えることはない。 まあ、いまさらビジュアルを気にする年齢でもないが 事故の代償は大きかった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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